第一章 VS ヒグマ 04
「にゅんよ!?」
「まさかあの!?」
「いや、本物なのか!?」
にゅんよ。その名が呟かれただけで、対策本部は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
にゅんよ。それはハムスターと言うイレギュラーの中において、さらにイレギュラーな存在。
ハムスターはそれだけで強い。先に述べた「野生」のおかげで、にゅんにゅんワールドにおいて彼らを倒せる存在は多くはない。天敵と言える生物もいない。
野生においては、自分が生きていけるだけの強さがあればそれで十分。それ以上のものは必要ない。必要がないどころか、場合によっては重荷にすらなりかねない。
そんなハムスターの中でさらに強さを求めるようになった個体、にゅんよ。何がかのものを駆り立てるのか。その衝動の理由を知るものはいない。おそらく、自分自身でさえも。
「ふう、疑い深い方もいらっしゃるようね。でも、それなら私の名を騙ったものがどんな末路を辿ったかもご存知でしょう?私は本物のにゅんよちゃんです。」
にゅんよが言い切る。
にゅんよが得意とするは心霊空手。空手をベースに、ハムスター最強の武器である野生を乗せて常識外れの破壊力を生み出す。
「心霊」とあるように、スピリチュアルな力も備わっている。例えば、どこかの恐れ知らずが聞きかじった知識で心霊空手を名乗り、にゅんよを騙るとする。にゅんよは未知の力でそれを感知することができる。そして、「アストラル体」を飛ばす。このアストラル体はどんな距離であろうとまたたく間に騙り者に到達、粛清を行う。粛清は多岐にわたり、簡単に死なせてくれればむしろ幸せと言っていいだろう。あるものは行動を支配され、にゅんよに泣いて詫びながらガソリンを撒いてマッチを擦った。
だから皆、恐怖をもってその名を呼ぶのだ。「にゅんよ」と。
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