第10話

「おお~やっぱり人間ばっかりだな…」


 フレッゾの街は人間が多く住む街らしい、他にも獣人とかもいるとか。

 なお獣人ってのは俺のイメージであり人間同様に細かく種族が別れていると優男は言っていた。


 ネコ耳とかウサ耳、ウシの角が生えていて見た目は基本的に人間よりらしい。動物が二足歩行してるタイプの獣人もいるとか。


 ケモ耳や尻尾がある美少女はロマンがある。


 金髪ロン毛のエルフもファンタジーとしては悪くないけどな。如何せん俺は目つきが若干悪いタイプの幼女なので見た目で損をしてる。あの幸せの膨らみも持ち合わせていないしな。


 顔立ちは結構な美少女なんだけどな、内面の姑息さとか性格の粗野が表に出てしまっている俺だ。


「………ハァッ性根がもう少し真っ直ぐな優しいエルフになりたい」


 おっと今は冒険者ギルドだよな冒険者ギルド、俺は先ずはこのボロボロな服を何とかしたい。

 後はちゃんとした料理を食べたい。


 冒険者ギルドの場所はあの優男に聞いているので問題ない、他の家よりも大きな建物で赤い屋根とレンガの建物らしい。目立つので直ぐに分かった。


 近くに行くと冒険者らしき武器を持っている人間もいた。体格の良い人間は大きな大剣とかハンマーを持っている、小柄な人間はダガーとか弓や槍を持っていた。


 防具として革の鎧やら胸当てを身に着けている、まさに俺のイメージする冒険者って感じだ。

 年齢はアラフォーから十代までと本当に様々な年齢層の人間がいるな。


 人種は掘りの深い感じの外国人が多い、白人がやはり多いな、日本人っぽい顔なんて一人もいない。

 この異世界でアジアフェイスを拝める日は来るのだろうか……別に見たくもないけどな。


 受付カウンターらしき場所に向かう、そこには受付のお姉さんがいた。ギルドの職員の制服を着た金髪ボブカットだ。


「こんにちは、可愛いエルフさん」

「こっこんにちは…冒険者になりたいんですけど」

「冒険者に?」

「はいっお金を稼ぎたいので」


「う~ん冒険者は危険な仕事ですよ? 簡単な依頼ならフレッゾの街の清掃や工事なんてのもありますが共に体力仕事ですし、モンスターを相手にする依頼も少なくありません、子供には……」


「子供ではないです」


 この敬語…面倒くさい、しかし揉め事を起こすのも損をするだけなので今しばらくはこのスタイルで行こう。


「ああっエルフさんだからですか? しかしそれでも冒険者と言うのはオススメ出来ません、やはり危険ですし……」


「自分の身は自分で守れます、証拠を見せます」


 俺は袋をゴソゴソとして中からリザードマンの革を取り出した。

 あの最初にゴーレムが倒したリザードマン達の革だ、鱗が大きな蛇革みたいなヤツである。


 リザードマンをゴーレムが解体する時にこの革も丁寧に剥ぎ取っていた、俺はピンときたね。これは間違いなく売ったり出来る物なんだと。


 剥ぎ取ったモンスターの素材を売ってお金にするなんてまさにファンタジーゲームのテンプレだろ。


「これはリザードマンの革ですか、状態も悪くありませんね」


「道中に襲ってきたので倒しました、これはギルドで買い取りとか出来ますか?」


 ここで無理ですとか言われたら俺は泣くよ? だって何かを食べるお金も無いんだからな。



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