第9話

 俺は一人で城塞都市に向かう事にした、流石に土で出来たリザードマンとか魚頭を引き連れて行くのは俺でもヤバイと思ったからな。


 ゴーレム達には身を隠せる場所に待機してもらった、城塞都市は荒野にあるので大きな岩とかがそれなり近くに転がっている、その岩の影に隠れてもらっている。


 一方で自身の身の安全を守る事も忘れない。

 俺はこの世界に来たときに足元にあった袋を背負い、その中にリザードマンメイジと魚頭ゴーレムの……ミニチュアサイズ版を生み出して忍ばせたのだ!


 モンスターを元にしたゴーレム、これからはモンスターゴーレムと呼ぼう。こいつらは基本的に元となったモンスターのサイズで生み出すがその気になれば小さくも出来るみたいだ。


 これなら大きくも出来るかもな、基本的にモンスターゴーレムは元となったモンスター以上の性能を発揮はしないが魔法を使える個体を元にすれば魔法が使える。


 かわりに俺のイメージだけで生み出したゴーレム、こっちはプレーンゴーレムと呼ぶか。

 プレーンゴーレムは形こそ自由なかわりに魔法とかは使えないって感じだ。


 ちなみにミニチュアサイズでもモンスターゴーレムは普通に魔法は使えた。火と水の魔法を通常サイズと同じ威力で使えるので護衛にはピッタリだ。


 俺をロリータと侮り悪いことしようとするロリコンが現れたらコイツらに炙ってもらったり水浸しにしてやるぜ。


 城壁の高さは十メートルくらいはあるだろうか、魔法みたいな力がある世界なんだしもっと高くて出来そうなもんだが、まあ高いことは高いよな、立派な石造りの壁を見上げながら回り込む様に移動する。


 さてさて、入り口はどこかね~?

 チビエルフの短い足でトコトコと歩くことしばらく、立派な門が見えてきた。

 両開きの門は開かれ、入り口付近には数名の武装した人間の姿があった。


 いたよ、ちゃんといたよ人間が!

 そんな何気ない事が結構嬉しい、マジでこの世界、人外ばっかの世界じゃねぇだろうなって思い始めていたからな。


 異世界人大量発見、取り敢えずはテンプレ通りで助かった。後はこのチビエルフな俺がこの異世界でどんな立場や扱いなのかが問題だ。


 エルフは問答無用で奴隷とかって禄でもないファンタジー作品だとままあるじゃん、そんな感じじゃないかと警戒している。

 そん時は俺の護衛が火を噴くぜ、マジでな。


 大丈夫だ、いざとなれば逃げればいいしっと俺自身を鼓舞してその武装した連中の方へと歩いて行く。

 向こうも俺に気付いた、取り敢えず挨拶でもするか……言葉通じるのか?


 ここまで来て止まれるか、俺は一番近くにいる金髪の優男に話し掛けた。


「んっエルフの子供か? 一人でどうしたんだ?」


 言葉は普通に分かった。


「ワタシは旅をしている者です」


「旅をって…いや、エルフは長寿だと聞くし、もしかして子供でもないのか?」


 こっちの言葉も普通に通じた様だ、どうやら異世界でも言語コミュニケーションは可能らしい。

 そして確かに俺は見た目は幼女、しかして中身は大人というどっかの眼鏡探偵小僧をパクった感じのエルフだ、酒も飲んでたし。


 まっ頭の出来の差はどうしょうもないけど。俺っ推理小説とか超絶苦手だからな、なんでコイツが犯人なの? となる大人です。

 さてっそれよりもこの城塞都市に入れるかどうかを確認するか。


「お金無いんですけど、ここって入るのに入場料とか取られたりしますか?」


「にっ入場料……? いやそんなのはないぞ、このフレッゾの街はモンスター以外なら誰でも歓迎さ」


 フレッゾ、それがこの城塞都市の名前らしい。

 そして城塞都市と言うより普通の街って扱いとして異世界の現地人ジモティーには認識されているみたいだな。


 モンスターがいる世界だし、あの城壁は標準装備って所なのかもな。


「街の外から来たエルフでも手っ取り早く稼げる仕事って何かあります?」


「……本当に子供じゃないんだな……ああいやっそうだな、やはり手っ取り早く稼くとなると冒険者ギルドに登録して……いやっ流石に冒険者は…」


 あるのか、やはりあるのか冒険者ギルド!


「冒険者ギルド、それはどこにあるんですか?」


「ほっ本気か? いやっ実際にこのフレッゾまで来てる訳だし戦えるのか?」


「トカゲ人間みたいなのと魚頭の人間みたいなのなら倒しましたけど」


「リザードマンとサゴンを!? やっぱりエルフは優れた魔法使いなのか……それなら納得も出来るな……」


 ブツブツと考えこむ優男、会話はちゃんとしてくれるのでこのフレッゾについてもう少し話を聞きたいので少し待つ。


 しばらく話をして問題なさそうだったので俺はフレッゾの街へと入った。

 

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