第二章 お金を稼ぐのも楽じゃないよ

第11話

 リザードマンの革を出した事で俺がモンスター相手にも戦えるチビエルフだと信用してくれた受付のお姉さん。


 俺は無事に冒険者ギルドに冒険者として登録出来た。そしてリザードマンの皮を売ったお金で装備を整える事にした。


 リザードマンの皮は売ったが肉を売らなかった……何故なら腐……理由がありとっくに捨てたからだ。皮は天日干しするとなんとか保存出来たので持ち歩いていたのだ。


 ちなみにこの世界は硬貨が貨幣である、ファンタジーあるあるだな。お金の単位はシルト。

 1シルト1円だと思うことにする、物価の計算とか苦手なんだよ。


 向かう先は冒険者御用達の装備とかアイテムとかが売ってあるファンタジーなお店である。きっと良さげな装備とか売っているに違いない、服もそれらしいのくらいあんだろ。


「ここはガキが来るところじゃねぇんだよ!」


 店のいかついオヤジ主人に追い出された、こっちはチビエルフみたいな見た目でもお客様だぞもっと丁寧語で接客せんかい。


 いつか俺が冒険者として名を馳せた時に思い知らせてやるぞこのハゲオヤジめ!


 仕方がないので他の店に行こう、この世界の人間が普通に使ってそうな衣類とか売ってそうな店に行ってみる。

 店っぽい建物の窓から店内を覗くこと何度目かでそれらしい店を発見した。


 可愛い系の服から格好いい服までかなりの数の衣服が置いてある、雑貨の類も色々と置いてありここでなら良さげな服を買えそうだ。


「いらっしゃいませ可愛いエルフさん」

「こんにちは」

「今日はお買い物かな?」


 ボロボロの服を着ている俺に対しても丁寧な言葉で対応してくれる、この女性はいい人だ。

 いやっ冒険者の店のハゲオヤジが酷すぎるだけか俺は2万シルト分の銀色の硬貨を4枚取り出してこれで買える範囲で服が欲しいですとお願いする。


 服に細かいこだわりはない、問題なのはお値段である。買った服は穴とかあくまで使い続けけるのが俺の流儀だ、俺の注文を聞くと店員のお姉さんは嬉々として店の奥に引っ込んだ。


 待つことしばらく、店員さんが両手いっぱいに様々なファンシーだったりド派手な服を手に帰ってきた。


「ふふふ~久しぶりに着替えさせたいお客様がきたわ~」


「…………」


 マジだよコイツ、俺は絶望した。

 その後、結構な時間を強制着せ替え人形となった俺である。やたらとテンションの高い店員を落ち着かせ、何とか買い物を済ませた。


 ファンシーだったりド派手だったりするドレスとかは全てお断りである。

 なんとか2万シルト以内で買い物を納めることができた。


 買ったのはこの街でよく見かけるデザインの子供用の服である下は短めのスカートだ、ズボンが良かったのだが店員にごり押しされた、その勢いに負けてまさかのスカート購入である。あと靴下と靴も買った。

 ちくしょうめ。


 その後は雑貨屋に寄りバックパックやランタン、それにロープなどのなんか冒険者っぽいものを勘に任せて買い漁った。全てチビエルフな俺でも使える子供サイズである。ママゴトサイズのミニマム感。


 なんでこの街には子供サイズの商品がこんなにあるだ? もしかしてチビエルフみたいなちっこい姿で冒険者をするファンタジーな種族が他にもいるとか?


 店の店員が子供を見守る生暖かい目で見ていたが無視である。道具まで買い揃い終えた後には残金が1万シルトを切っていた、武器? 防具? そんなの十数万シルトが平均ラインらしいので最初から諦めた。


 あのいかついハゲオヤジのせいであの手の店にはしばらく行きたく無い気分なのだ。

 そこで俺はいかにもお値段が安そうな大衆食堂を探し、そこに入った。


「いらっしゃいませ……子供一人ですか ?」


「いえっこれでも大人です」


 多分な、このチビエルフの実年齢とか俺自身も知らん、店内で空いている席に適当に座るとメニューがあったのでそれを見る。

 文字も普通に読めた…異世界テンプレに感謝である、メニューをざっと見回して量が多そうなやつを注文する。

 やはり肉だな肉。


「すいません、このリザードマンステーキというのをお願いします」


 リザードマン、あいつらこの世界じゃ人間に食われてんだな。正直どんなもんかと思いつつとりあえず食べてみようと思った。


 リザードマンステーキが美味かったら今度またあのリザードマンたちを相手にした時にヤツらを倒して得たお肉をゴーレムに調理してもらう時に食材に使えるかもと思ったからだ。


 料理が来るまでの間店内を軽く見回してみる、フレッゾの住人らしい人や冒険者の姿もちらほらと見えた、活気があるのは悪くないな。


 そんなことを考えていると冒険者たちがしている 会話が不意に耳に入る。


「また冒険者がやられたらしいぞ」

「マジかよ、またアイツらか」

「多分な」

「怖いね~今月だけでもう3人だろう」

「全くだ冒険者ギルドはどうするつもりなんだろうな……」


 お昼ご飯食べようとしたらやたらと物騒な会話が耳に入ってきた、冒険者怖えな…やる前から自信がなくなるよ全く。


「お待たせしました~」


 リザードマンステーキの登場だ、それでは気を取り直して実食と生きますか!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る