第36話【悪循環】
1歳に満たない子どもを保育園に預けるというのは、この身が引き裂かれるような思いであり不安でしかなかった。
急に知らない人のところへ預けられる子どもの身になると心が苦しかった。
「俺が働きにでたら妻も子どもも家に居られるのに。どうして思い通りに体が動いてくれないんだ」とこのとき毎日思っていた。
この頃の主な症状を1つだけ1番つらい症状をあげると【疲労感】だった。
家に居るときはあまり感じないのだが外に出るときに急に「あっダメだ動けない。」と背中にずっしりと重いものを背負っている感覚だった。
こういうのは病院に行っても大概「ストレスですね」と言われて終わるだろう。と妻に病院へ行かない理由付けをした。
それと自分に【大きな病気ではないよ】と言い聞かせていた。
しかし3か月が過ぎても症状が向上することはなかった。
その時もネットで調べまくった。
例えば【疲労感 病気】などだ。
そうしたら病気の名前が山ほど出てくる。
中には不安を煽る文章まであった。
「子どもが20歳になるまでは生きたい」その思いだけで病院に行く決心がついた。
まず、最初に行ったのは前に血液検査をしてもらった消化器内科のクリニックだった。
「先生。疲労感が抜けないんです。動いてもすぐに疲れるし。今までバリバリ力仕事をしていたし、走ったりもしてきたのですが、この年で急に体力が落ちることってあるのでしょうか?」
「もしかしたら副腎かもしれないね。もう1度血液検査をしてみようか。」
「副腎?ですか。はい。お願いします。」
初めて聞く言葉にどんな病気なのだろうかと考えるばかりだった。
「血液検査の結果、特に異常は認められませんでしたね。」
「そうですか。ありがとうございました。」
「ストレスという事も十分に考えられますので、規則正しい生活を心がけてみてください。」
「はい。」
そう言われたら仕事を辞めてから動く気力もなくて、ひたすらに動画サイトで動画を見ていた。
週に100時間は動画を見ていて、トイレと食事以外はずっと寝転んでいた。
このとき昼夜は完全に逆転していた。
3か月もの間外に一歩も出ていなかったので、ほとんど歩いてもなかった僕の体の筋力は落ちてきて、足も腕も細くなり以前よりも体が弱くなった気がしていた。
お医者さんに言われたことを守ろうと運動してみたりするのだが、その運動するのさえ辛くなってきた。
そんな中60歳?70歳?であろう人生の先輩がバリバリに走っているのを見て「すごいな~。自分があの年の時は歩けてるかも分からないな。」と本当に思った。
『とにかく今回の検査では何もなかったんだ。』
できるだけストレスをためない様に、考えすぎないように生きよう!と思った。
それからさらに数か月経った。
いまだに働けてなかった。
それは今までの【疲労感】にくわえ【腹痛・腹部の違和感】を感じるようになったからだ。
お腹の痛みがとにかくひどいのだ。
左のヘソの横らへんにしこりのようなものがあり押すと激痛、押さなくても痛い。
水を飲んだりしてお腹に力を入れると「ボコボコボコ」とお腹が鳴る。
そして、毎日下痢をする様になった。
もう我慢の限界だった僕はここから怒涛の病院ツアーに走り出すことになるのであった。
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