第11話【約束】

今までお泊り言えば月に1回から多い時でも3回程度だった。

それに毎回ホテルへ行かなければならないので、金銭的な面でも負担になった。


だが、引っ越しをしてからは僕の部屋がある。

千秋には2時間ほどかけて来てもらうことになるが、嫌な顔一つせずに来てくれた。

自然とお泊りの回数も増え、月10日ほど来ることもあった。


それから間もなくのことだった。

大学へ行くのが面倒くさくなっていた。

この時もまだ千秋との電話は朝方までしていて、大学へ行っても寝るばかり。

完全に行く意味を見失っていた。


『何をしに大学へ来ているんだ。』

『何か1つでも学んだのか?』

『働いた方がお金にもなるし、そうしようかな。』


と考えるようになっていた。


それからバイトの先輩に相談した。

返ってくる言葉は同じ『絶対後悔するから辞めるな』だった。

同じく大学を途中で辞めて後悔した先輩もいた。


その時の掛けてくれた言葉の重さは、19歳の僕には響ききらなかった。


【それから数か月後、僕は大学を辞めた。】

千秋は泣いていた。一緒に卒業しようねって約束したのにな。

『ごめん』そう思うしかなかった。


大学を辞めてからも付き合いは続いた。

それどころか大学で会えなくなった分、千秋が会いに来てくれる回数が増えた。

大学も辞めバイトに明け暮れていた僕は、少しだけお金の余裕ができた。

デートも近場から千葉のテーマパークへ行ったり、大阪のテーマパークへ行ったりと行動範囲も広がって行った。


こうして会う回数が多くなり、過ごす時間が長くなると『こいつと結婚するかもしれないな。』と考える様になっていた。

というより他の人と一緒に居るのが考えられなかった。


付き合いも約2年になり僕たちは20歳になっていた。




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