第10話【さらばボロ家】
交際は順調に進んでいき、大学生活も1年が経っていた。
僕たちは両方が実家に住んでおり、デートはいつも外だった。
それに千秋は大学から家までが近い。
つまり二人の家の距離は電車で2時間もあるのだ。
お互いにバイトや用事をしていると、1年経ったとはいえプライベートで会った時間は多くはなかった。
その時のデートと言えば、プリクラを撮ったり、ゲームセンターでメダルゲームをしたり、ファミレスで何時間も過ごしたりだった。
映画を見てそのあとは外をブラブラすることが1番多かったかもしれない。
どんな貧乏デートでも2人が居れば、本当に幸せだった。
19歳の夏。
ついに、ついに、その時がやってきた。
ボロ長屋を引っ越せる時が来たのだ。
お父さんが亡くなった時、生命保険には入っておらず突如としてお父さんの収入が丸々無くなったので家計は火の車だった。
それがどういうことか、1つ下の妹が「引っ越そう」と言ってきたのだ。
しかも『引っ越しの費用は私が持つし、家の不用品の処分も任せて』と言ってきた。
実は妹は高校へは行かずに、家の為に働く道を選んでいたので僕よりもお金は持っていた。
本当は僕がするべきことを妹がすべてやってくれた。
今でも妹には頭が上がらない。
引っ越す条件は2つ
・家賃は僕と妹で折半する。
・家賃以外の生活費を母が担当する。
この条件の元、引っ越すことが決まった。
その間取りは4LDKで家賃10万。
これで前のボロ長屋と同じと思うと、騙されていたのかと思う。
こうして初めて自分の部屋が兄弟へ割り当てられたのだ。
それから千秋とのデート場所に【僕の実家】が盛り込まれた。
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