第14話 ふたりの懐かしい小さな男の子


 

 あくる日は穏やかな冬晴れでした。🌞


 湖畔の洗い場でおばあさんがアルミ鍋を磨いていると、一昨日やって来た男の子がふたたびやって来ました。今日はもう少し小さな男の子の手を引いています。👦👦

 やはり、ミルクの匂いがしてきそうなほっぺの、3歳ぐらいの男の子でした。


「おばあさん、はい、これどうぞ」

 年嵩としかさの子が重そうな風呂敷包みを差し出しました。


「わしにかい? なんじゃろうのう」

 包みを開いてみると、みごとな蒔絵まきえの重箱に金色に輝く黄粉きなこのおはぎがぎっしり!


「あんれまあ、わしの大好物、どうしてわかったんかいのう」(@_@。

おばあさんが目を丸くすると、ふたりの男の子はおかしそうにクスクス笑いました。


ふたりの仕草に、ふしぎな懐かしさがあります。(*´ω`*)


遠いむかし、同じほっぺをした男の子がいたような……。

もうひとり、同じほっぺをした男の子がいたような……。


 首をひねっているおばあさんに、ふたりの男の子は小さな顔を見合わせて、ふふふと笑い、つないだ手を楽しそうに振りながら、うしろの雑木林を振り返りました。


 つられておばあさんも振り返ると、おやおや、これはどうしたことでしょう!

 どこもかしこも枯色の雑木林に、そこだけほんのり明るんでいる桃の梢。🌺

 

 ――桃の花が咲くころには、ここを出て行かなければならない。

 

 そう思い思いして来たおばあさんの心がザワザワ騒ぎ始めます。

 ふと気づくと、ふたりの男の子たちのすがたは消えていました。

 

 あれまあ、どこへ? おばあさんがきょろきょろしながら空を見上げてみますと、いましも2羽の白鳥の子がコーコー鳴きながら湖面へ舞い降りて行きました。🦢🦢

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る