第33話 ギルド世界ランク2位”ウォーリアー”

「改めて。 自己紹介をさせてもらうぜ、ギルド”ウォーリアー”に所属している、Bランク冒険者のグレンだ。 すまねぇ…正直助かった。 あのまま戦闘をしていたら確実におじゃんだった」

「同じくBランク冒険者のアリアよ。 助かったわ」

「同じくBランクのキールだ。 感謝する」

「私はユリア。 魔法使いよ、よろしく」

「え~っと。 俺はFランクの不死川 創輔ふしかわ そうすけだ。 よろしく」


全員と握手を交わした俺は改めて、状況の確認をおこなった。


「っというか、なんでBランクの冒険者がこんな所に?」

「お、それはだな!」

「ちょ、ちょっとグレン!?」

「なんだよ。 いいじゃねぇか、こいつは”アレ”の知り合いだぜ? おまけに異端者だ。 なら、猶更情報の共有をしておいた方がいい」

「うむ、そうだな。 アリア、今回は俺もグレンと同意見だ。 この男には情報を提示するべきだろう。 例えそれが、ギルドが抱える秘密であってもだ」


何やら話からして、俺が聞いてしまってもいい事なのだろうか?

とはいえ、話してくれるのであれば俺は喜んできくとしよう…なんせ事情が事情だけにあまりな…


「ギルドの情報によれば、各所ダンジョンでの”不測の事故”が多発していると聞く」

「不測の事故?」

「あぁ、ダンジョン内のモンスターは低ランクのものであればその場から基本的に動くことは無い。 だからこそ、ダンジョンのランク付けはそういうモンスターの統計で決まっている。 つまり、ここ”Fランクダンジョン”はボスモンスターやその他雑魚のモンスターまでもがある一定の位置から動く事はないわけだ」


グレンの話が正しいのあれば、今までのモンスター共の反応にも納得がいく。

モンスター達が俺を発見したとしても、ある一定の距離の所でそこまでの得物を見失ったかのように元の場所へと戻ってゆく。


「だとすれば…じゃあ、あいつは?」

「あいつの名はエンシェントフレイムドラゴン。 恐らく、Aランクダンジョンのモンスターだ」

「Aランク!?」

「あぁ、間違いないだろう。 ユリア、鑑定結果は?」


少し離れた場所でドラゴンの死体を確認する女性へそう尋ねるグレン。

その声を聴いた後も何度も何度もドラゴンの周りをグルグルと回っていたが、何かを諦めたようにこちらへ振り返ると。


「―――間違いないわ。 これは”エンシェントフレイムドラゴン” おまけに、見てなさい? きっとおどろくわ」

「「「「????」」」」


その場の全員は彼女の言葉に首を傾げる。

もしや、まだ何か隠された情報でもあるんだろうか?


パチンッ!

と指を鳴らした瞬間、ドラゴンの姿は少し変化を遂げた。

鱗の色が赤く発光をはじめ、まるでまだ生きているかのような美しい姿へと変化を遂げる。 だが、目の前のそれは先ほどまでのドラゴンとは全くと言っていいほど別物だ。


「やっぱりか…」

「ど、どういうことだ? グレン!?」

「そ、そうよ!? だってあればフレイムドラゴンだったじゃない!?」


今まで黙っていた二人も反応を始める。

そりゃ驚くだろうよ、あんな地味なドラゴンがまさかこんな強暴に見えるドラゴンだったなんて…


「隠蔽魔法。 それもあのユリアがここまで見抜けない程の精度だ。 恐らくだが―――」

「「ま、まさか…」」

「創輔、いきなり呼び捨てで済まないな…だが、俺は―――この事件。 冒険者が関わっているんじゃないかと思ってる」

「…まじかよ…なんのために?」

「さぁな。 それをもう少し、調べてみようとおもっている所だ。 つーわけで悪いんだが、本来ならニュースになるであろうこいつ。 俺らが貰ってもいいか? 勿論、金はこっちで入金しておこう」


ピコンッ。


『口座に2千万円の入金を確認』

「え? ちょ!?」

「勿論、個人間での取引は違法とされている…だが、もう少し調査が必要だろうな。 まぁ、それは受け取っちまったんだから共犯って事で?」

「う、嘘だろ…」

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