第4話 創作あるある? ねーよ!――トドメのフレーズ③

 みなさん、こんばんは。

 今日も、元気に創作しましたか?


 本日は、「トドメシリーズ」第3回。

 今回もパンツァーについて語ります。パンツァーだっていいじゃない!


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 創作方法論の記事・書籍を色々見ていると、パンツァーというのはスティーヴン・キングに代表されるように、なんだか特殊な才能の持ち主のように説かれることが多い。


 前回引用したラリー・ブルックス(シカ・マッケンジー訳)『工学的ストーリー創作入門』(フィルムアート社、2018年)の記述やフィルムアート社/フィルムアート社『きちんと学びたい人のための小説の書き方講座』(https://kakuyomu.jp/works/1177354055193794270)の記事にもそんなニュアンスの記述がみられる。


 もっとも、これらの記事や書籍は創作ハウツーを紹介するものだ。キャラクターの作り方や物語の構成の仕方、ポイントなどを解説することがその使命である。

 だから「スティーヴン・キングのように才能、感性、経験と勘を頼りに書け」とは、解説しないのは当たり前だ。

 こうした記事や書籍において、キングのような存在はとりあえず横に置かれる。


 物語の書き手の多くは、「物語の書き方」に様々な悩みを持っている。才能、感性、経験と勘で書いているうちに、壁にぶち当たることがある。

 それがストーリーの構成だったり、キャラクターの作り方だったりするワケだ。


 ワタシが、『その神社またの名を……』を書き上げた後、一番不安になったのは「構成」だった。


 それは、とても漠然とした不安だった。


 本当に、こんなやり方で書き続けていいのかな?


 ぐらいの不安である。はっきりとしたモノではなかった。


 執筆を始める前から「プロット」という言葉は知っていた。

 web小説の読み専時代、作者が読者に向けたコメント欄で「プロットは出来ているのですが……」という記述を見たコトがあったから。


 同時に、「そんなもの作っている時間があれば、サクサク書けばいいのに」と思ったものだ(笑)。今思えば、物語を書いたことがないヤツの思考だった。


 プロットを作成するメリット。

 それは、物語の構成の全体像を把握できることだ。

 たとえば主人公が成長する物語であれば、それに必要な「契機事件」や「ピンチポイント」などをどこに配置するか検討しながら、物語の全体像を作り上げることができる。


 プロットを作成せずに物語を思い付きだけで書いていくと途中で行き詰まってしまったり、書き上げたとしても最初から書き直しなんてことになるおそれがある。


 あらかじめプロットを作成しておけば、そうした手間、労力を省くことができる。

 これ以外にもプロット作成のメリットはあるが、いまはおいておこう。


 じゃあ、パンツァーはダメなのか?


 というと、そういうワケでもないようだ。ラリー・ブルックスによると、執筆前に知るべき点をおさえておけば、パンツァーであっても問題はないという。


『執筆前に知るべき点は二つに大別できる。ストーリーの四つのパート(全体の約四等分)と五つの転換点(ストーリーポイント)だ。ストーリーが形になり始めると見えてくる。原稿を読み直して探すとなると、かなりの書き直しが必要となるはずだ。それぞれの箇所に来る「前」に出来事を決めておこう。たった五シーン、五つの転換点だけだ。五つの主要な場面を念頭に入れて自由に書けばいい。執筆のスピードは大幅に上がるだろう。少なくとも行き先を決めずにうろうろするよりは効率的だ』(ラリー・ブルックス(シカ・マッケンジー訳)『工学的ストーリー創作入門』(フィルムアート社、2018年)306頁)


 すこし補足しておこう。

 まずストーリーの4つのパートについて。上記の書籍には、つぎのように記されている。


【パート1】

 設定。主人公と舞台設定の紹介、何が揺らいでいるかを描き終え、転機を設ける(プロットポイント1)。主人公の冒険が始まる。何かを求めて進む主人公の姿が物語の中心になる。

【パート2】

 新たな旅に対する主人公の反応。以前と打って変わった状況。主人公は躊躇する。

【パート3】

 問題への取り組み。受け取った主人公が動き出す。ミッドポイントで反撃開始。

【パート4】

 解決。主人公は内面の悪魔を克服。対立を解決し、ゴールを達成する。


 「三幕構成」の解説を読んでいると、パート2とパート3は「第二幕」に位置付けられていたりする。

 パッと見て気が付いたのだが、これって「起承転結」なのでは?

 ワタシには違いがよく解らない。


 どなたか詳しいヒト、ご教示ください。


 次に五つの転換点(ストーリーポイント)について。以下のものが挙げられている。


 ①オープニングのフック

 ②プロットポイント1

 ③ミッドポイント(流れを変える転機)

 ④プロットポイント2

 ⑤エンディング


 つまり物語全体を四つのパートにわけ、五つの転換点を順に配置していけば良いらしい。


 たくさんの創作論の書籍を読んだからといって、それだけで名作が書けるようになるワケではない。

 結局、書いて書いて書きまくってみなければ、創作論の書籍に書かれていることを理解することすらできないだろう。


 そして、いくつか作品を書き上げるうち、「執筆前に知るべき点」が自然に身につくはずだ。

 その域に到達すれば、真のパンツァーになれるのかもしれない。


 プロットは、「大失敗」しないために作成するもので、名作・ヒット作を書くための必要条件ではない。


 プロッターならば、名作・ヒット作を書けるというワケではない。パンツァーが失敗作・駄作の職人とも決まっていない。


 だから、


 本日のトドメのフレーズ。


『夢を生きよう。ストーリーを書こう。そして作家になろう』(ラリー・ブルックス前掲書314頁)。


 2022年。あけまして、おめでとうございます。

 本年も、よろしくお願いいたします🎍

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