最終話 クリスマスの日
クリスマスの夜。
なんとなく学校の屋上に来ていた。
管理が甘くて入れてしまうのだ。
規則やら安全性やらに厳しくなっている現在では
この学校の数少ない秘密だったりもする。
瓶を振れば何かが入っているのは分かる。
しかしこの小瓶はがっちりと栓がしてある。
あけるには瓶を壊すしかない。
「せーの」
ガッッシャーン
二人は瓶をコンクリートに叩きつけた。
懐中電灯を使ってガラスの破片をよけていく。
破片の中から見つかったものは指輪だった。
同じ色指のサイズもお互いにジャストサイズだった。
「すごいね。ぴったりだ」
幸せの絶頂でふとサンタの言葉を思い出す。
『二十歳になったらいい事あるよ』
あのときサンタさんは悩んでいた。
いつ会私たちが会えるのか予測ができなかったに違いない。
「二十歳にはずいぶん早いけれど、一足早くお祝いしてくれるのかしら」
その日、家に帰った二人は同じ夢を見た。
☆☆☆
サンタさんがやってきたのだ。
「おや、思ったよりもだいぶ早く出会えたようだな。
本当ならばあと5年以上は先の話であったのだが。
本当におのこががんばったおかげじゃわい」
「これからずっと離れることはないんですか?」
男が聞いた。
「それはお前さん次第じゃな。何やら最近の流行はわからなんがお前さんのような顔をイケメンとかいうそうではないか。
その容姿では女子から引く手あまたじゃろうの」
「たしかに。そうです。クラスメイトも黄色い悲鳴を上げてファンクラブみたいなものまで出現している始末ですし」
今度は彼女に向けていった。
「勉強とは大切なものであったろう?」
「はい。おかげさまで彼に教えることができます」
「そうそう。男とは堕落し易い生き物だからな。
女の子が引っ張っていくことがうまくいく秘訣じゃ」
「よいか? これからは不満があったところには
素直に伝えることが必要であるから忘れぬようにな」
「はい」
「ではまたいつかどこかで」
とサンタさんは消えてしまった。
☆☆☆
クリスマスの日に二人は同じ夢をいたことを確認しあった。
「これからの生活、うまく過ごしてみましょうってさ」
「そういえば付き合うとか言ってなかったよね。
サンタさんのお墨付きももらったし、お付き合いしてくださいますか?」
「それ、男が言ったほうがカッコよかったよな」
彼女たちはいつの間にか校内でも有名なカップルとなっている。
それから毎年のクリスマスの夜には彼女たちは願うのです。
「ずっと一緒にいられますように」
今日も二人の薬指には指輪が光る。
完
サンタさんってほんとにいるの 朝香るか @kouhi-sairin
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