5ー55

 19時開演

ステージの上から釣り下げられている大きな幕に、映像が映し出された。

通路を歩く5人の後ろ姿に、音声と字幕付き

keigo「あ、あ、あ、ね~俺のマイク入ってないんだけど~」

U−ya「入ってなくていいだろ!」

Daiki「いいか!今日は、静かにしてろよ」

shun「そんなことより桂吾、指のストレッチ

ちゃんとしたのかよ?」

Ryusei「そうだよ、だって今日は、」

All「サプライズナイトなんだからーーーーー!!!!!」


垂れ幕が落ちて、同時に瞬と俺のギターに合わせて、龍聖が

OhーーーーYeah Yeahーーーー!!

と歌いだした。

ステージの俺たちに眩しいライトが照らされた。

キャーーーーーーーと観客の大絶叫。

気持ちが一気にノル瞬間だ。


アップテンポの曲を3曲、これは普段俺が第1ギターで、瞬が第2ギターの曲。

今日は、サプライズナイトだから、瞬のパートを俺が弾く。


3曲終わったところで、大輝と悠弥のMC

「こんばんはー!!Realです!!

帰ってきたぞーーーー!!長野!!!!」

キャーーーー!!

「同級生とか親戚とかご近所さんとかいっぱい来てくれてんじゃね~かな~!!同級生!手振ってみて!!

あはははは!!みんな手振っちゃってんじゃん!!」

「悠弥、細かいことは気にすんな!!長野のファンは、みんな俺らの同級生で、親戚だって!!

俺らの地元!!長野!!大好きだぜーー!!」

キャーーーーーー!!


ここから、更にアップテンポな曲を5曲畳み掛ける。

観客みんなノリノリ!

今日のライブもいい感じだ。


「ありがとうございます!みんな、サプライズナイトって、どんなやつか知ってたかな~?」

「長野でサプライズナイトやるのは初めてだから、だいたいの人初めてなんじゃないか?」

「さっきから、MCをオレと、大輝がやってるから、わかってると思うけど、サプライズナイトは桂吾のしゃべりがなしです!!」

えーーーーー!!!!

「ほんとにね、桂吾のマイク切られてるからね!あ、コーラス入れる時とかは、ちゃんとマイクさんがオンにしてくれるから大丈夫!!」

「喋らない代わりに、マジメな顔していっぱいピアノ弾くので、黙ってればイイ男!!の異名を持つ桂吾を堪能してってください!!」

ドッと笑いが起きた。

「じゃ、この辺でバラード系のナンバーを何曲かやらせてもらいます!!」


言われた通り、マジメな顔をしてピアノを弾いた。

ピアノに関して言えば、瞬に全然敵わない。

瞬が普段弾いているレベルが100だとしたら、俺のは80%くらいの完成度だと思う。

楽譜通りに間違えないで弾いているレベル。

俺がメインでピアノを弾くのは、このサプライズナイトの時くらい。

普段作曲する時に、自分の部屋とかでピアノを弾くのと、ステージで客前で弾くのとでは全然違う。

最初の頃は、指の震えが止まらなくてってこともあったけど、今はもう少しリラックスして弾けるようになった。


龍聖の歌声を聴きながら、本当に上手いな~と改めて思った。

ちょっと難しめに作ったこのブルースも、難なく歌いこなしてるし、全英語歌詞のバラードも発音も完ぺき。

リズムをとるのが難しいジャズテイストの曲も、龍聖が歌うと本当に光り輝く。


ライブも中盤。

ここでメンバー紹介ナンバーの『DURKS』

みんなの頭文字をとっている。

元歌とゆうか、俺が書いた歌詞は一応あるけど、今はそれぞれがアドリブをかますコーナーみたいになっている。

ライブでは必ずやるけど、CDには入ってないから、ライブに来た人だけが聴けるものだ。

あ、ライブのDVDには入ってるか。

でも、ほんとこれ、アドリブで毎回みんな違うこと言うところがすごい。

直前のリハでは、名前くらいしか言わないから、本番のステージでなんて言うのか、メンバー同士も楽しみな感じ。

お客さんも一緒に声出してもらって、盛り上がるし楽しい。


「じゃーここらで~、あれいっちゃうかな~!」

大輝がドラムでリズムをとりながら、デカい声で

「せーのー!!」

と、かけ声をかけた。


『DURKS!!』

観客が叫ぶ。


これは、もう恒例になっているから、説明なしでも お客さんたち叫んでくれる。

『D!!』

「リーダーのDaikiです!!Realデビュー10年!!結成20年になりました!!俺が選んで、俺が見込んだメンツを集めたバンドです!

さすが俺!!見る目あるよな~!!

これからも応援よろしく!!」

キャーーーー!!!!と歓声。

さすが俺!!って、自画自賛で言えちゃうところが大輝らしい。


『DURKS!!』

『U!!』

「ベースのU-yaです!俺、バカだバカだって言われ続けてっけど~、実はなにげに結構頭良いんだよね~!

これ、地元の人しかわかんね~かもだけど~!

ほんとに頭悪かったら、陵北入れないから~!

陵北高校の名を汚さないようにガンバりま~す!」

アハハハーー!!と言う笑いと、ガンバレー!!

って、声援も とんでいる。

相変わらず、悠弥頭悪くていいな!

悠弥は、スポーツ推薦だろ!!


『DURKS!!』

『R!!』

「俺、蕎麦が好きで~、親が転勤族だったからいろんな都道府県に行ったけど、いろんなところで蕎麦が名物だったりして、食ってたけど~

長野の信州そばが俺の中ではベストオブベストで~、俺の身体の3分の1は信州そばで出来てんじゃないかってくらい大好きで~、何が言いたいかってゆうと~、みんなもどんどん蕎麦食おうぜ!って話。

ボーカルRyuseiです!」

アハハハ!!!!と、どっと笑いが起きた。

普段自分のことなんて、ほんと滅多に話さない龍聖が、このDURKSの時はいっぱい喋る。

それがほんと独特の間で、面白い。

ファンも大喜びだ。


『DURKS!!』

『K!!』

「みんな~!!こんばんは~!!ちょっと!俺

始まってから今初めてしゃべったんだけど~!!

今回10周年の記念ツアーだから、サプライズナイト5回もやってんの!今日が、ツアー最後のサプライズナイトです!

いつものRealのライブとは一味違った構成だから、これはこれでレアってやつ!!

今日はピアノがメインだけど、いつもはギターではじけまくってます!!keigoです!!

もっと、喋りてーーーー!!!!」

キャーーーー!!!!

けーごー!!!!ってすげー呼ばれてる。


『DURKS!!』

『S!!』

「ピアノとギターのshunです!!毎回毎回、このDURKSさ~、俺にオチをつけろとか、上手くまとめろ的なこと言われんだけど~、俺は普段そうゆう立ち位置でやってね~からさ~!

これ、11年目 次のツアーからは、S、U、R、D、K

SURDKに変えます!!

だって、DURKSになんの意味もないからさーーーー!!」

ワーーーーっと歓声が起こった。

瞬、ウケんな!!

このツアー終わったら、次のツアーから変えよう!!

それもおもしろいじゃん!!


「DURKS!!DURKS!!DURKS!!DURKS!!

DURKS!! by Real!!Thank you!!」


「まだまだ、こっからだぞーー!!

ついてこいよーーーー!!」

と、大輝が叫んだ。





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