5ー14

 Ray-zarとはデビューは1年違いだけど、同じコンテストの同期ってことで、ジョイントライブをきっかけにすごく仲良くなった。

俺は虎太朗とは特に仲良くなって、一緒に飲みに行ったり、たまに俺のマンションに泊まりに来たりもしている。

なんてゆうのか、人懐っこい感じでかわいい。


「けいちゃん、知ってる?今年コンテストやるんだってさ~」

俺の部屋のソファに寝転んで虎太朗が言った。

「コンテストってなんの?」

「なんの?って、あはははは!コンテストって言ったら、バンドコンテストじゃん!ルピアーノの~」

「ああ、それか。そう言や 大輝と瞬が審査員として呼ばれてるわ~」

「ってゆうかさ~、俺ら、第1回目のグランプリと、準グランプリじゃん!第1回って言ったら、普通 次の年には第2回をやるんだろうな!って思ってたら、全然やらね~の。

あのコンテストってなんだったの~って思ってたら、今年5年ぶりにやります!って、どうゆう周期なのって感じ。」

「あのコンテストが豊作だったからだろ?

Realと、Ray-zar、3位だったwelomu、あと、バンドからソロで引っ張ったLiliaと、川久保美怜と、今はタレントに転身した榊蒼真と上城淳太だっけ?なんか、第1回のファイナリストからいっぱい採り過ぎたんじゃねーの」

「それな!!俺たち準グランプリで、ルピアーノネクスト養成所に入って、研究生としてレッスンって言われて行ったらさ~、そいつらもいてさ~、はぁ?何?って感じだったもんね~」

「あはははは!そいつらって、言い方!!

ってか、Ray-zar 尖ってたよな~!今は、みんな丸くなったけど」

「うん。尖ってた。なんか、ナメられちゃいけない!みたいな感じで。メンバー的にはずっと仲良くやってるけどね。他のバンドと仲良くしようなんて全く思ってなかったね」

「まぁ、俺らもそうだったけどな。

コンテストの時も、めっちゃ睨んでたよな」

「だってさ~!!2位って、すげー悔しかったもん!!

Real 聴いた瞬間 あぁ、負けたなって思ったよ。でも、そう思ったのも認めたくなかったんだけどね、俺らは。

レッスンしてた1年の間に、Realは一気に山の頂上みたいなとこに駆け上がってて、いろんな新人賞みたいの~、いっぱいもらったりしてんのをテレビで観て、俺ら 麓で這いつくばってたよ」

「へ~虎太 珍しいこと言ってんな~」

「まぁ、けいちゃんの前だけね。ちょっと本音トーク。

俺ら、いつかRealを超えてやる!見返してやる!なんて思ってやってきたけど、でもさ~去年のoneのライブも見せてもらったけど、すごかったし、今年ジョイントライブ一緒にやらせてもらって、やっぱすげーな!Realって!!って改めて思い知らされちゃったんだよね。

怖い人だと思ってたけど、悠ちゃんなんて、超天然だし、大輝さんも優しかったし、超リーダーって感じだった。

チーム違かったけど、龍聖さんも瞬さんも良い人たちで、やっぱRealパイセンの背中は遠いな~って、思ったよ~」

「パイセンって、同期だろ」

「俺ら、年 一個下だし」

「そっか、じゃ、デビュー1年後って言っても、俺らと一緒の25歳でデビューって感じじゃん」

「うん。そう」

「じゃ、やっぱスタートは一緒なんじゃん」

「けいちゃん優しいな~。ってか、けいちゃん この部屋、いつ来ても女っ気ないけど、カノジョいないの?」

「いないよ。虎太は?」

「俺はいるよ」

「えっ?いるんだ!?どんな女?いつから付き合ってんの?胸デカい?」

「何?俺にカノジョいるの そんなびっくりかな~?」

「あ、いやそんなことない。虎太はモテるだろうって思うし。ただ、どうやって付き合うことになるのかなって、教えて欲しいって思ってさ」

「あはははは~!それにしちゃ、けいちゃんの質問、どんな女?いつから付き合ってんの?胸デカい?って! 超巨乳!!爆乳!!」

「マジか~~~~!!羨ましすぎる~~!!」

「って、ウソ!ウソ!あはははは~!

普通の子。胸も普通。地元一緒の子だよ」

「一般人ってこと?」

「あぁ。もちろん。この業界の人とは付き合う気になんないな」

「あ、わかる!それ!」

「ってか、俺ら、全員カノジョ持ちだよ」

「マジで~~~~?いやいや、Ray-zarパイセンじゃん!!Realでカノジョいるの龍聖だけだもん」

「わっ!!意外!!逆に龍聖さんて、全く女に興味ねーって感じだと思ってた」

「あ、つい言っちゃったけど、虎太だけな!これ事務所にも 内緒だから」

「うん、わかった。誰にも言わないよ。

けいちゃんはさ、羨ましいなんて言ったけど、作る気ないでしょ!カノジョ」

「はぁ?カノジョ、欲しいに決まってんじゃん!!」

「うっそだ~。けいちゃん、超モテるのに、相手にしないじゃん!余韻の人って実在すんの?」

「あはははは。どうだろうな?フィクションであり、ノンフィクションでもありって感じかな」

「なに、それ。でも、フィクションでもノンフィクションでも、とにかく、その人のことが好きなんだね。ずっと」

「そうかもな。ってか、そろそろ風呂入って寝るけど、虎太 泊まってく?」

「いや、今日は帰る。カノジョ待ってるから」

「は?カノジョ待たせてんなら、こんなとこで無駄話してんなよ!!」

「帰る前に、ちょっと けいちゃんと話したかったからさ」

「はいはい、じゃ、帰って帰って。また来いよ」

「うん、じゃね!!おやすみ~」

「おやすみ。気をつけてな」


カノジョつくる気ないでしょ? か……

ないと言えば、ないのか……

彼女を忘れられないのに、カノジョなんてつくれない……

彼女を忘れる為に、カノジョをつくるってゆうのは、失礼な話だし。

いや、

ってゆうか、ただ単に出逢いがないだけだ。

この人と付き合いたいって、心がふるえるような人とは、 まだ出逢えていない。

それだけだ。

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