5ー35

 受け付けに行くと、五和さんがいた。

「あっ!keigoさん大丈夫でした?」

「心配してもらっちゃってゴメンね。大丈夫だよ。五和さん、悪いんだけど、俺の私物置き場から、oneの色紙と、あとRealの公式の色紙用意してもらえる?」

「あ、それなら、さっきRyuseiさんに言われたので、ありますよ。あとでkeigoさん来るからって」

そう言って3枚色紙を出してくれた。

俺がoneにもらった、oneの4人のサインが入った色紙と、Realの公式の色紙に龍聖のサインがしてあった。倉田亨様って書かれている。

もう一枚何も書いてない色紙に、俺のサインを書いた。

「待っててもらってるから、五和さんこれ彼に渡しといてくれる?」

「えっと、なかのゆきの夫って人にですか?」

「うん」

「承知しました。ほんとに警察なんですか?

心配しなくても大丈夫だよって、Ryuseiさんそう言ってましたけど」

「あはははは~!白バイだってさ。じゃ、よろしくね~!俺、自分の車で次の現場に行くから」


にしても!龍聖、どこまでわかるんだ?

その超能力は。



 スピードに気をつけて安全運転で、六本木の撮影スタジオへ行った。

スタッフさんに控え室へ案内された。

「龍聖お待たせ~!」

「あれ、思ったより早かったね」

「龍聖が色紙用意してくれてたからさ。

ってか、ずっと聞こうと思ってたけど、龍聖ってエスパーなの?」

「えっ?エスパーって!また、昔っぽい言い方だな!ハハハ!

エスパーの定義がなんなのか、わかんないんだけど」

「心の声みたいのが聞こえんの?」

「あ~~、まぁ近いっちゃ近いな。

聞こえるんじゃなくて、見えるって感じかな。読めるって感じ」

「じゃ~さっき、旦那さんから何が見えたの?

いきなり笑ったじゃん!!」

「あ~~。あはは。すげーエロいシーンから始まっちゃったから、つい笑っちゃった。

ゆきちゃんの肌、めちゃくちゃ白いな。陶器みたいだった」

「あはははは!人のセックスまで見えんのかよ!すげーな!」

「そっから始まったから笑っちゃったけど、あの人、すげーゆきちゃんのこと愛してて。

桂吾に対して、うん、そうだな、割と、強い嫉妬心持ってるけど、それでも、本心で桂吾のこと気遣ってたよ。邪心はなかった。

一気にだいぶ読めたけど、何が知りたい?」

「……全部」

龍聖は、大きく頷くと話し始めた。

「これは、彼から読めたことだから、彼の目から見たゆきちゃんだけど。

ゆきちゃんは、今は横浜に住んでる。

子供は男の子2人。2人ともゆきちゃん似だな。特に上の子は、ほんとゆきちゃんの分身かってくらい似てるよ。今、幼稚園の年長さんかな。チャリで送り迎えとかしてる。ママさんって感じ。髪は今は短いな。ショートボブ。

下の子は、まだ1、2才かな。ゆきちゃんにベッタリだよ。

うーんと……、桂吾と瞬のCD聴いてくれてる。

家は、綺麗に片付いてるなぁ。

あ、本棚に桂吾の花の写真集あったよ。

ゆきちゃん、買ってくれたんだな。

玄関とかキッチンとかに花を飾ってる。ほんと、花が好きなんだな。

ゆきちゃん、料理も上手で、美味しそう。

うん、とにかく、幸せそうだよ」


「……そうか    彼女……

俺が 初めての相手だって……

彼女、ダンナにそう言ったって」

「あぁ、そうだよ」

「えっ?龍聖 知ってたのかよ!!」

「あぁ、それは、あの海事件の次の日に、桂吾を消毒した時に読めたけどな。

処女を喰ってきたなって、すげー感じたよ」

「マジかよ!!俺、全然知らなかったよ!

教えてくれよ!!」

「処女とやってきたの?って?

聞かれれば答えるけど自分から、見えたモノ、読めたモノを話すのは、ちょっと違うからさ、俺から伝えるんじゃなくて、知るべき時に知るだろうって思ってた。

それが、今だったってことだよ」

「龍聖、イジワルかよ!!」

なんか、ちょっと涙目になってんのが自分でわかった。

「意地悪じゃないけどさ」

「今が知るべき時なのかよ!!なんで今だよ!

なんで今ごろなんだよ?」

「とにかく、手に入れてるってことだよ。最初からな」


「龍聖、初めて理彩子とした時、理彩子バージンだったんだよな~?血 出た?」

「あぁ、俺のベッド、殺人事件でもあったのかって感じになったな」

「だよな!!俺、中学とか高校とか、何人か処女とやったけど、すげー血出たし、構わずガンガンやったけど、めっちゃ痛がるし、処女めんどくせ~って感じだったな。

彼女はさ、すげー怖がってるのはわかったけど、血 でなかったし、痛いから止めてなんて言わなかったし。元カレいたし。だから、あれが初めてなんてわからなかった」

「血が出る出ないは、人によるみたいだし、量も。激しい運動してたりすると処女膜破れるとか言うし。ま、膜って膜じゃね〜けどな。要は、開通するかしてないかの話だけど。

でも、俺があの時感じたのは、桂吾が処女を喰ってきたってことだったから。それが、真実だろ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る