No.3 信じないでね、嘘だから 感想

・信じないでね、嘘だから。

そういいながら1000の言葉のうちの一つに嘘を入れるって発想を文章に落とし込んだ手法が見事。

洒落こわとか、上手にできたお話を読み終えた感じの読後感。伝わりづらい例えかもしれませんが、おいしい既製品を口にしたような感覚。

どこまでが本当でどこまでがウソか。ミステリーってわけじゃないし会話文だけで一本かけるのすげぇなぁ。

素直に面白かったです。


・最後まで疑いながら読みました。絆されそうにもなりましたが、やっぱりそっちだったかと。ラストでひっくり返す、かっこいい物語でした。


・「信頼できない語り手」な話で面白いです(そんな感想でいいんでしょうか)


・語られる情報から、自分もいっしょに謎解きをしているような気分で楽しかったです。

表現する術を持たない者の設定も予想外でした!


・嘘つきな少女の語りだけで進むお話。印象的なフレーズを繰り返すことでリズムが生まれている。

設定的におや? と思う場面も、「信じないでね、嘘だから。」の一言で全てリカバリーされるのがすごい。自動補修機能付きの小説だ。画期的だ。

オチもしっかりしていて面白かったです。

ステストの流れをくむ者の気配がして、最初はこれ書いたのぴよらっとさんか……? と思ったけど、ぴよさんにしては全体的に素直な感じがするので多分違うかな~。


・4幕目でぞっとしました。嘘を語る彼女に唯一、始めから終わりまで一貫していたのは父親への憎しみだったという感じなのでしょうか…終始引き込まれっぱなしでした!


・う、嘘つき……! とはいえ恋人の食べちゃいけないものくらい把握しとけよっていうのは100億パーセント正論なのでなんも言い返せねぇ。アナフィラキシーショックには気を付けよう! 語ちゃんのついた嘘、殺意が高いから蜂蜜の方に注意が行きがちですけど、冷静になったら「駆け落ちしろ」っていうの自体が嘘よね。逃げ切れるとは思えないし、捕まったらさすがに拷問で吐かされた上にDIEでしょ。そうするとお兄さんの生き残る道は、マジで語ちゃんの言葉を全部無視して訪問を続けるしかなかったんやろなぁ(秘密を知った以上途中リタイアも無理だと思うし)。ただ訪問を続けたとしても、クリア条件は満たせそうにないし、どちらにせよチェックメイト感しかない。そう、お兄さんは詰んでいたのだ初めから……!


・言葉のセンスがすごい! というのが第一印象です! 一人称視点のゲームをしているような、一人語りのお芝居を見ているような心地になりました。

騙部語さんの本心は結局どこにあったんだろうと想像しながら読むのも楽しかったです。


・面白かった。何よりヒロインがとってもかわいい!

信じないでね、嘘だからってフレーズがもう心地よい。

オチも良かったし、好きな作品でした。

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