第42話⁂貴美子の野望!⁂
何故小百合は、お父さんと生活したいと言い出したのか?
実は現在14歳の小百合だが、思春期真っ盛り。
美しく成長した小百合に、目を細めて眺める中元と貴美子なのだが、最近小百合はあんなに大好きで、自分に振り向いて欲しいばかりに散々悪事も重ねて来たが……?
何か中元に違和感を覚えている。
中元を独占したいばかりに、膝の上を独占してテレビや家族団らんを過ごしていたのだが……?
最近何か異変を感じるのだ。
それは膝の上に乗っかると感じる視線と感触。
余りにも美しく成長した小百合に嬉しさ半分、欲望半分、ついつい足や胸に自然と手が行く中元。
最初の内は{うっかり触ってしまったのだな~?}ぐらいに思っていたのだが、
ある日いつものように、頭の良い中元に勉強を教えて貰おうと、膝に乗っかりノートを開いていると?
すると「ど~れ何が分からないんだ~?」
その時に最近やっと膨らみだした胸元を思いっ切り””ギュ~ッ””と触ったのだ。
「中元何するの~?エッチ!」
「イヤイヤ娘もやっと大人になったから、お父さん嬉しくて~」
それでも…そう言っている中元の目は、優しい娘を思う目ではなく、どんよりと濁った卑しい男の眼差しそのものだったのだ。
もう大好きな中元ではなく、只の獣にしか見えなくなった中元に嫌気がさして、これを機に小百合は一刻も早くこの家から脱出したくなった。
こうして小百合の言う事は何でも聞いてくれる優しいパパ剛の元で、生活するようになった小百合。
だが、家を出てパパの元で生活したいと言い出してからというもの、貴美子から散々初美と万里子の悪口を言い包められているのだ。
「あの初美おばさんは、小百合が生まれていたにも拘らずパパを奪った悪い女なのよ!またあなたからパパを奪うかもしれないわよ!あの女は私から何もかも奪った女なのよ、だから万里子とも仲良くしない方がいいわよ!」
当然の事ながら諸々のA氏事件に関係する話は、一切出していない。
それと交換に栄転する事が出来たのだから。
すると何も知らない万里子お嬢様が,早速遊びにやって来た。
それでも、同年代の2人は一緒にデパ-トに買い物に出掛けたり、映画を見に行ったりと仲良し姉妹関係が続いていた。
そんな2人だが、ある日決定的な事件が起こる。
それは和やかに会話をしていた2人なのだが、何か最近とみに、力関係に疑問を感じる万里子。
{私がこの家の娘、今井万里子なのに、あのお手伝いさん達の最近の言動には目に余るものを感じるわ!……私の意見は二の次で小百合の意見だけ聞き入れるなんて?}
そうなのだ。最近は小百合ちゃんが、この家の継承者然とした雰囲気になって来ている。
「私ね、パパからこの家の跡継ぎは私の他には考えられないと、子供の頃から言われて育ってきたのよ、今はママがおばあちゃんの面倒を見る為に別居生活を送っているけど、私は又この家に戻って来るから、その時は小百合と一緒に生活しましょうね?」
幾ら子供と言えども釈然としない小百合。
「ハ~?万里子何言っているの?継承者があなただって誰が決めたのよ?それから、あの初美おばさんは、私のパパとママが結婚する筈だったのにパパを奪った悪い女なのよ!私が生まれていたにも拘らずパパを奪った酷い女なのよ!私のママから何もかも奪った女なのよ、それなのによくも継承者は自分だと言い切るのね?…第一私の方が年上なんだし、な~に変な事言っているの?もう万里子あなたとも絶交よ!…もうこの家に来ないで!」
「エエエエエエ―――ッ!何言っているの?この家は私の家ヨ!」
「もう万里子の顔も見たくない、来ないで!」
「この家は私のモノよ、何言っているの、さきさん何とか言ってよ~?」
「…そ…それは…それは万里子お嬢様が間違っています。今は小百合お嬢様がこの家のお嬢様です」
「…ウウウウッ( ノД`)シクシク…」
お手伝いのさきにまで、こんな事を言われた万里子お嬢様は、居てもいても立っても居られず、一目散に泣きながらこの家を飛び出して母の待つ家に帰った。
「ママ~ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭私達は、おばあちゃんが様態が安定したら、また鎌倉の家に戻れるのでしょう?・・・イヤヨ!こんなマンションなんか!」
「そそ…それはそうなんだけど?」
「何よ~?その言い方は、まるでこれからずっとここに居なくてはならないみたいじゃ~ないの?嫌だ!こんなマンションなんか!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
母の初美は、全て知られてしまったので、もうあの家に戻る事は出来ないと諦めている。
だが、娘の万里子が余りにも戻りたいと懇願するので、ダメで元々と思い、剛に電話を掛けた。
すると剛は、さも迷惑そうに「万里子を後継者だと決めた覚えはない!……もうお前達には呆れるばかりだ!全くとんでもない噓八百で塗り固められたお前達には、もうコリゴリだ!おまけに散々迷惑を掛けておきながら、可愛い私の娘小百合にイチャモンを付けるとは?…もうお前とはやって行けそうにないな?」
あんなに優しかった最後の頼みの綱の剛に、こんな冷めた言葉を浴びせ掛けられた初美は、愕然とする。
貴美子にしてみれば、何としても小百合を継承者にしたいばかり。
小百合に入れ知恵を付けて、初美と万里子お嬢様を徹底的に追い込むのだ。
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