第34話⁂父と息子!⁂



 1953年事業に失敗して借金まみれの満の父親は、過労と精神的に追い詰められ体調を壊して等々70歳で他界した。


 何とも不謹慎な話だが、満は正直『死んでくれてありがとう』そんな思いしかないのだ。


 散々女道楽した挙句、愛する母霧子をあんな残酷な形で死に追いやり、更には借金まみれのどうしようもない父親など死んでくれて清々している。

 早速相続放棄の手続き申述書等を裁判所に提出して、自由の身となった満。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇

「満お金何とかならないか?助けてくれ――――――――ッ!」


 弟夫婦にも冷たくあしらわれて、切羽詰まった本郷は、まだ若干19歳の満の学校帰りにまで待ち伏せして、お金の無心をするようになってきている。


「オヤジ何言ってるんだい?俺がどれだけ酷い目に合っていると思うんだい?お金なんてオヤジの返済に回されてある訳ないだろう……オヤジのせいでおふくろだってあんなに酷い死に方をしたんだぜ~?もう来ないでくれる?」


「そんな事言ったって~こっちっだって取り立てに追われて、いつ殺されるか分かったもんじゃないんだ。ほんの少しで良いから工面してくれ!……お前そう言えば剛兄さんと仲が良いじゃないか~頼むから頼んでくれ?」


「いい加減にしてくれ!あんなに優しかった母を醜くなったからと言って、血も涙もないゴミくず同然に捨てやがって!……結局若い愛人、登紀子と一緒になりたいばっかりに弁護士と共謀して、言い掛かりを付けて追い出したんじゃないか?……母親と無理矢理引き裂きやがってグウウウ(´;ω;`)ウッ…なぜもっと母を案じてやれなかったんだ!……もう自分の事しか考えずに‥母をあんな形で殺しやがって!グウウウウ許せない!・・・それから俺の唯一の味方の剛兄さんからお金をタカレだと――――ッ!」


「そんな事言ったってお金を支払わないと、俺だっていつどんな目に合うか分からないじゃ~ないか?…じゃ~最後のお願いだ!頼む!暫くかくまってくれ!頼む剛兄さんに頼んでみてクレ!」


「フン!嫌だね!…真っ平御免だ!とんでもない悪徳業者に引っかかって散々散財して、俺達にまで迷惑をかけやがって~!…お前なんか死んでも良い!…死んでくれ―――!母親をあんな酷い目に合わせやガッテ――――!」


「お願いだ!タタッ助けてクレ――――ッ!」


「もう親でも子でもない!……頼むから俺の目の前に現れないでくれ!お前なんか要らない!フン!消えろ!」


 満は血も涙もない言葉の数々を、父に容赦なく浴びせかけているが、母の最期が余りにも可哀想過ぎたのであんな父など、これでも足りないぐらいに恨んでいる。


 こうして父は債権者に追われ、体調を壊して過労と精神的に追い詰められて死んでしまった。

 父の最期は、やせ細り栄華を極めた昔の面影はどこにもなかった。













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