第35話⁂井上幸子と名乗る女性とパンパン風の若い女性判明⁈⁂



 1987年4月1日に日本国有鉄道(国鉄)から分割民営化された。

 九州旅客鉄道株式会社は、大分・熊本・鹿児島の各鉄道管理局および九州総局の鉄道事業を引き継いで発足したJRグループ旅客鉄道会社の一つ。通称はJR九州。


 万里子お嬢様の父親で【ATホ-ム】社長の剛と、国鉄(現JR)勤務のめぐみちゃんの父親満は従兄弟なので、万里子お嬢様とめぐみちゃんは又従姉妹という事になる。


 めぐみちゃんの父親満は、まだ大卒も少ない時代に旧制大学卒業のエリ-トだから当然の事ながら転勤族。


 じゃ~何故、万里子お嬢様は、本宅で悠々自適に生活していたのに九州に来る事になったのか?



 実は1966年12月中旬の大雪の日に、小百合ちゃんが弟の光男君を雪に埋めた事に端を発して、大騒動が勃発していた。


「可愛い小百合をよくも、こんな身体にしてくれたな~!」


 社長剛の怒りが収まらず、あの事件で義父の中元は社長から、散々恨まれて北陸支社長から異例の降格人事で氷見支店長代理として氷見支店に移動になった。


 幾ら不注意で、小百合ちゃんの右耳が聞こえなくなったからと言っても、小百合ちゃんがあんまりだったから致し方なかったのだが。

 社長の怒りは増すばかり。


 しかし、この待遇に納得のいかなかったプライドの高い貴美子主導で初美の過去を、ありとあらゆる手段を使って調べ上げた結果、等々新潟長岡大空襲で死んだ筈の井上幸子に成り済ましている人物に辿り着いた。


「ウッフフフフ~!…あなた達は本当に…間抜けね!1954年頃に外車に乗っている人物がどれだけいると思っているのよ~?…店の前に乗り付けたらしいじゃないの~?フフフ!……あなたのお母様ったら、見られないようにうつむいていらっしゃったみたいだけれども?ハーフ顔で美しかった事が災いしたみたいね?……日本人離れした女性だったとの事なのよ!そこであなたのお母様に辿り着いたのよ!」


 A氏は井上幸子と名乗る同郷の女性が、想像以上に美しく成長している事に舞い上がり、ちょっとでもカッコイイ所を見せたくて、あの頃は自家用車所有者は限られていたのに、ましてやブルジョアの象徴、外車で現れたので一際目を惹いた。


 商売人か?会社社長などが社用で使っていたぐらいの時代。

 国産車は、まだ開発途上の為、故障する事が多く外車に頼るブルジョア達が多かったのだ。


「そこで渋谷ハチ公前から一帯しらみつぶしに手当たり次第に当たったのよ、すると12年前のあの時に、車マニアの男性が珍しい外車と、日本人離れした中年の美しい女性が乗り込む所を見ていて、写真を見せたら初美さんのお母様だと分ったのよ!」


「フフフ!初美さんあなたの化けの皮も等々剝がれたわね!……フフフ!今度こそ許さないから」


「…あなた言い掛かりはよしてよ!そんな噓っぱちな事に騙されると思ったら大間違いよ!フン!」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 1954年5月某日


「大変な事になったのよ~!長岡大空襲で亡くなった柳田一家を知っている同郷のお客さんがいて、お父さんを知っている人が会いたいと言っているのよ~?」


「エエエエエエ―――ッ!あの一帯が焼けたので……まさか横浜で柳田勇を知っている人に会うなんて~?・・・全て暴かれてしまう……無国籍で成り済ましだなんて分かったらアアアアアア!おしまいだわ!・・何とかしなくては?」



 紫の花びらは高貴な色として*・*。・

 高貴な色の紫を愛した紫式部

 むらさきを意識して名付けられたと言われている。


 そんな紫色の藤の花が咲き誇る*・❀

 1954年5月某日


 A氏は同郷の40代半ばの、呉服問屋の井上幸子と言う女性からの電話に唖然とする。


「私あなたと同じ小学校で1級下の呉服問屋の井上幸子です。……柳田酒造の勇さん一家とは唯一の生き残りメンバ―として連絡を取り合っているのよ!……ケンちゃん一度会いたいのだけれど?」


「エエエエエエ―――ッ!生きていたのか?・・あの呉服問屋の幸ちゃんかい?是非会いたいよ!」


「ワァ~嬉しい!私ね今東京で暮らしているのよ!……どこで会えるかな~?」


「ああ!俺が東京に出向くさ!」


 そこに現れた女性こそ……それは40代半ばの初美の母親和子で、あのパンパン風の若い女性は何と…!初美だと言ってはばからない貴美子。


 初美と万里子お嬢様は最大のピンチに立たされている。

 あの時の井上幸子と名乗る女性とパンパン風の若い女性は、本当に母親和子と初美だったのか???


 この後とんでもない事実が判明………?







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