夢の再来 1/3

笑おう もう一度 忘れないように


暗闇に 身体が呑まれていって

その瞬間を ひたすらに待った

何かが 津波のように押し寄せる


これは鼓動 これは激情

これは愛情 これは信仰

これは絶望にも 似た幸福


その瞬間 頭に降ってきた映像は

遥か昔 胸に刻んだはずの景色だった

あの日に憧れた あの人に焦がれた

脳裏に こびりついていたはずの景色


そうだ 私はそうなりたかった

毎日 平坦なことに慣れてしまって

どこに 情熱を注ぐわけでもなく

毎日 時間を消費して生きてきた


無駄に生きたくはないのに

無駄ばかりする虚しい日々


何かになりたくて 何にもなれなくて

心が麻痺して 動かなくなっていく

それにすら 焦りが消えていきそうで

人間として 心が化石になりそうで


いつもどこかに あると思ってた

自分が変われる 大きなきっかけ


奇跡的な物事 奇跡的な出会い

奇跡的な転機 奇跡ばかり夢みた


いつか出会えると思ってた

出会えるはずがなかったんだ


だって出会いは踏みつけてきた

歴史のなかにあったんだから


胸に当てた手が 鼓動を感じてる

言いようのない 思いが溢れていく

何度もつよく硬く 拳を握り締めた


怒涛のように まわりゆく頭の中が

あの日を もう一度繰り返している

記憶のなかに捨て去ったはずの夢


あの日の夢が 私を襲う

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