大事なものって

君がくれた沢山のものがここにある

過ぎた時代の中にある切れ端のような

思い出と言葉ばかりを残していったね

交わした会話の全ては思い出せなくて

だけど笑顔だけがたしかに胸に残ってる


君が夢を叶えるといって旅立ってから

僕はうまく笑えなくなってしまった


「大丈夫?」ってみんなに聞かれて

「大丈夫」って答える日々を続けてた

「大丈夫」じゃないのはわかりきってる


「早く次の人を見つけなよ」


周りは簡単に笑う 悪気なんかない

いつしか僕もそれに合わせるようになって

君のことなんかも覚えてないフリをして

僕の人生 いつの間に こんなふうに

誰かの評価を恐れるようになったんだろう


あの日の海での誓いが遠くから聞こえる

貝殻を耳に当てたような錯覚を起こす

遠くから波の音になって聞こえてくる


それが驚くほどに暖かくて優しくて

僕を責めるつもりなんかなくてつらい


不満を吐き出す事は簡単にできて

強がることも簡単にできた そんな自分を

受け入れることだけができなかったんだ


周りに見られないように誰もいない夜の中

君との思い出を握り締めてひっそり泣いた


何日も過ぎた

何ヶ月も過ぎた

このまま何年も過ぎるかもしれない


先の未来が恐ろしく近くにみえてしまって

僕はこのまま生きるのかって気づいてさ


そんなの嫌だった


まるで自分自身を塗りつぶしていく気分

楽しかった思い出をを自分で汚す気分

真っ黒な絵の具で塗りつぶしている気分


こんなの嫌だってこぼした僕の涙が

塗り固まった絵の具を少しだけ溶かしてく


例えばあの日に戻れたとしたら

もし同じ別れがあったとしても

僕も君も決して忘れはしないはず


どこに行くかもわからないまま

旅が続いていく 答えは出ない

空が広い 今日も時間が過ぎる


だけど誇りは捨てちゃいない

覚えてられない会話の切れ端を

握り締めたまま自分らしく笑いたい

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