僕の答え 2/3


吹き付ける風が今日も僕を揺らしていく

目を開けていられない強風が吹き荒れて

僕は少しだけ身と心をすくめて過ごす


あの日みた夢が僕の中で燻っている

たったそれだけ たった一夜だけ

一度見ただけの夢が、こんなに強烈に

こんなにも僕の希望となり生きる証になる


挫けそうな夜にはいつも空に月の光が

ほのかに僕の心を照らしてくれるんだ

優しい光が涙ごと僕を包み込んでくれる


街の喧騒が耳障りで耳を塞いで歩く日々

君の残したメロディが不意に聞こえるたびに

僕は思わず泣きたくなってしまうから

その程度の噂話で君を語られるのは嫌で

思い出すのは辛くて やっぱり未だ弱くて

そんなことで僕はまた下を向いて歩いてる


ほんの少しだけ君が残していった希望が

月に照らされて柔らかく目にチラついて

その優しさが痛くてまた泣きそうになる


だけど前より泣かなくなった僕は

少しだけ強くなれたのかな それとも

少しだけ薄情になってしまったのかな


僕は見えない明日をただ探したくて

暗闇に手を伸ばしてこの身を沈ませていく 

かけがえのない月灯りを掴みたくて

今日も少しだけこの手が空を切った


記憶を語り継ぐ 思い出を語り合う

紡ぎ直すように 手繰り寄せるように

明日の色が少し色鮮やかになってほしくて


空に一筋の飛行機雲 最後が少し霞んでて

君が生きた証を少しずつ忘れそうで怖い

風よ 吹かないで ずっと消えないで

この時が止まってくれたら君の心みたいに

真っ直ぐな雲は風に溶けずにいるだろうか


涙の数だけ強くなれるなんて

そんな甘いこと君が言ってた


僕が零す涙の分だけ 想いの分だけ

言葉の分だけ 紡いだ物語の分だけ


僕は強くなれたかな


「大丈夫かな」


言い聞かせたような小さなひとことが

また涙と一緒に地面に吸い込まれて消える


そこから芽吹く小さな黄緑色の双葉は

あまりにも儚くて優しかったから、つい

過ぎゆく時の中で毎日生きていけば

何かが移り変わっていくんだろうなと


「このまま」「どこか」へ行けば


いつかまた君に巡りあえるだろうか

このまま行けば未来に君がいるのかな

そんなことなんの確証もないけど


「大丈夫」そう、信じてみよう


そう思って前を向く 僕は変わりなく

行き先のない手紙を書き散らして過ごす


求めた答えを誰かに肯定してほしいと

未だ どこか頼りない風に問い続けてる

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