第16話理解の及ばない後輩のヘキ

「せぇ〜んぱぁいっ!触って……ください」

「んっ……うぅ、そのひょうじょうと声でそんな要求するなって!」

後輩の那岐谷雛美なぎやひなみが左手をスカートの裾をきゅっと握りしめ、右手を口へと持っていきひとさし指を咥えながら甘い声でねだる。

上目遣いで、だ。

純粋そうな瞳を私に向けて、淫らな行いを要求する彼女に狼狽え、震えた声で断る。

「いつもみたいに、ですよぅ〜!さぁさぁ!」

「いつも触ってるみたく言うなっ!そんないかがわしいことっ……」

彼女が嬉々とした様子で、胸を揉めと激しく煽る。

そんな彼女に否定と拒否を突きつけ終わる前に、握りしめられた拳の力を抜けさせようと彼女の右手が私の左手首を掴み自身の胸へと引き寄せ揉ませてきた。

「ひっ!なにっ、させるぅッッ?」

「何って、リナ先輩が早く触ってくれないから手伝ってあげたんです。こういうのも、悪くないですね」

小悪魔な笑みをたたえ、自身の胸を私の手を操って揉みしだきながら満足そうに続ける。

へ、変態だぁぁ……この娘。

「ひっ、引かないでくださいよぅ、せぇんぱぁいぃ。そんな顔されると傷付きますぅぅ……」

わ、解らない……この娘、ほんと変わってるんですけどぉぉー……

大人に、変な性癖を植え付けられたのか、この娘……心配だよぉぉー……

「哀れむような目ェやめてくださいってばぁっせぇんぱぁいぃ……うぅっ」

足を震わし、力が抜けたようにへたり込み、泣き出した彼女だった。

「あっ、いや……その——」

私はへたり込んだ彼女の視線に合わせるように屈んで宥めた。

背中を摩ったり頭を撫でたりを繰り返し、泣き止むのを待った。


人間関係って、やっぱ難しいなぁ。

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