第25話 襲撃、竜騎士

堕落したケラトと出会って2週間後。

「……やるしかないのか」

「…ああ」

テスタと蓮は、朱天羅達に剣を向けた。



時は遡って1週間ほど前である。

 竜人保護管理局で悠里と二野目は密かに思っていた。

 裏切り者がこの中に居ると。

 そして誰なのかも目星はついてはいる。

 戸増樋野である。

 とはいえ、彼を裏切り者として見るにはまだ早い。

 何も彼は怪しい行動を起こして居ない。

 我道と共に味噌汁を作っているし、特に何かを仕込もうとしている動作すら見つからない。

「ゆーちゃん……ほんとにそう思ってる?」

「…うん、あの時の目は絶対に殺る気だった」

 2人がそう言いながら、台所を覗いていると。

 2人の肩に謎の手が触れる。

「何をしている」

 2人は驚き叫びかけたが、すぐに息をとめた。

「セトルさん……」

「台所にそんなに気になる物があるのか?」

 二野目は慌てつつも何とか言い訳をした。

「あっなんか美味そうだなーってだよねゆーちゃん?!」

 いきなり話を振られた悠里も慌てながらも何とか話を合わせようとする。

「そ、そうだにゃあ?!」

 焦って変な口調になった。

「……悠里……そういう奴……なのか?」

「ふぇ?!そ、そうなんだにゃあ?!」

 セトルは少し驚き、部屋に戻ろうとした。

「少し……頭を冷やすか」

 悠里はこの後死のうか少し迷った。

 その時、バイクが1台シャッターを開けて通って来た。

「久しぶり、セトル」

「莉さん」

 橘莉である。

「莉……さん?」

 莉は二野目に目線を向け、自己紹介をする。

「私は橘莉、竜人保護管理局の局長だ。よろしく」

「橘……っ事は?!」

「そうゆう事」

 二野目に向けて。ピースを決め、莉はソファに座る。

「メンバーもそこそこ増えたんだね、映夢」

 座ってパソコンの作業をしていた映夢も作業を進めながら頷いた。

「それじゃあみんな集まって」

 竜人保護管理局のメンバーは全員集まった。

「それじゃあ、これから。君達にやってもらいたい事がある。辿れば20年ほど前かな」


 私、橘莉もとい中澤莉は大学で2人に出会った。

 間田敏樹と橘涼だ。

 彼等とはすぐに意気投合し、互いに楽しい日々を過ごしていた。

 そんな時である。

 私達は山を登っていた。

 しかし、前日の雨で地面が不安定になり、私と涼は間田とはぐれてしまった。

 私は足をくじき、あまり動けずにいた。

 涼は今、間田に連絡し、麓の宿に合流する事にした。

「……ああ、わかった。莉、立てるか?」

「ちょっと……」

「そうか」

 涼は私を背負い、そのまま立ち上がった。

「……乗れ」

「ふぇ……?」

「……良いから」

 その時、霧の向こうからなにかが現れた。

 それは大きく、黒い獣で胸に白い三日月のような紋章があった。

 そう、ツキノワグマだった。

「りょ……くん」

 クマは口からヨダレを垂らし、息を荒らげている。

 涼はゆっくりと後ろに下がるが、クマは今にも襲いかかろうとしていた。

「……ごめん」

 涼はそういうと、私をおろし、なにかの構えをとった。

「竜装」

 そういうと涼は炎に包まれた。

 私はあまりにも唐突な出来事で、思考が追いつかなかった。

 炎が無くなると、涼は鎧を身を包み、騎士の姿になっていた。

「え……」

 地面に刺さった剣を抜き、涼は剣をクマに向けた。

 クマは涼を恐れ、逃げ出した。

「……涼?」

 涼は莉を見た。

「今まで……隠しててごめん、俺。普通の人とは、ちょっと違うんだ」

 涼は話した。

 竜人の事を、竜世界の事を。

「………なにかの冗談って受け取りたいけど……こんなの見せられてたらね…」

「間田には、秘密にしてくれないか」

「……わかった」

 莉は了承し、2人で山をおりた。

 だが、2人は知らなかった。

 間田も、涼が竜騎士なのをここで知った事になったとは。

 その後、大学の研究所に涼は呼ばれた。

「間田、どうした?」

「いや……実は君に少し頼みたい事があってね」

「……なんだ?」

 間田は彼の耳元で囁いた。

「君の体には……悪魔が居るだろ?」

 涼は背筋が凍ったかと思った。

「なぜ……それを」

「実はうちの家系は竜人を守ってた忠臣の家系でね、君の御先祖は立派な武士だったらしいよ?それでまぁ昔の書物を調べてたら面白いものを見つけてね……それが、殿の体には悪魔が憑いてるという話だ。まぁなんというか、僕はそれが気になってね。だから、その悪魔を出して欲しい」

 涼は間田の胸ぐらを掴んだ。

「ブラックなジョークなら今辞めた方が良いぞ」

「いいや?ブラックジョークなんて僕は嫌いなんでね。君の家系に昔から取り憑いているわるーい悪魔を払おうとしてるんだよ?」

「まさか、竜王の時の話もか……」

 間田はとある1枚の紙を出した。

「その通り〜」

 涼はそれを手に取り読んだ。

「君の御先祖様は昔1人の道化師に出会い、その魅力に惹かれていった。しかしそれはその狡猾な道化師の罠で道化師は裏で君の御先祖を…」

「じゃあなぜ俺の中の悪魔を出そうとする」

「そりゃあ僕がその力を使って実験をしたいからさ」

 涼は竜装し、間田の喉元に剣を突きつけた。

「本当に……奴は……悪魔だ。だからそいつを復活させようなんて考えるな、悪魔は俺の家系で……永遠に封じなくちゃいけないんだ」

 涼は鬼気迫る声で間田に言った。

 間田は微笑し、剣の切っ先をどかし、部屋のドアに手をかけた。

「おい、どこへ行く」

「辞めとくよ……君がそんなに拒むなら」

「良いか、たとえ友達だとしても、二度とそんな事を言うな」

「わかったよ」

 間田は部屋を去った。

 その後、間田は2人とは距離を置くようになった。

 そして、2人は、結婚した。

 2人は新婚旅行に大分の別府に行った。

 2人は温泉を楽しみ、ゆっくりと部屋で寝た。

 その時、枕元から何かの声が聞こえた。

(そろそろ、替え時だな……)

 涼はその声に背筋を凍らせた。

 To Be Continued

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恐竜騎士道 椎茸仮面 @shiitakekamen

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