第七話 あの夏の夜の思い出
結花によって連れていかれた先は祭りの会場から少し離れた河原だった。
「よし、間に合った。ふぅ。ふぅ。先輩、空を見ていてください。」
結花にそう言われ、空を見上げると、その瞬間
バーン
そんな音を鳴らしながら、夜空に大輪の花が咲いた。
「きれいだな。」
「そうですね~。」
「また来年も、一緒に見たいな~。」
「そうですね~。」
そんな会話を最後に、俺たちの間には沈黙が訪れた。
「先輩。私、ずっと前から先輩のことが好きでした。優しいところとか、私の気持ちをいっつも考えてくれているところとか。ずっと考えていたんです。私の気持ちを先輩に伝えるにはどうしたらいいんだろうって。きっと私のこの、先輩に対する気持ちは好きって言葉だけじゃ表せません。でも、たとえ全部伝えられないとしても、少しだけ、少しずつでもいいから先輩に私の気持ちを伝えたい。そう思ったんです。先輩。私と、私と一生一緒にいてくれませんか?私と支えあって、この世の中を私と、私と先輩の先輩の人生をより良いものにしませんか?お願いです。先輩。私と付き合ってください。」
この、結花の言葉に対して俺が何と答えたか、そんなこと言うまでもないだろう。ただ一つだけ言えることがあるのなら、この二人は幸せな人生を送ったという事だけだ。
あの夏の日の思い出 種蒔 フラワー @yuusei0305
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