第六話 夏祭り

「せんぱ~い、遅れてすみませーん。」

そう言いながら俺の方に向かってきた天使に俺がかけた言葉は

「大丈夫だよ。全然待ってないし……。それじゃあ行こうか。恋叶祭りに。」

『全然待ってない。』などと、デートの時に使うと噂の言葉を使い俺たちは恋叶祭りの会場に向かって歩き出した。


「先輩先輩。あの食べ物おいしそうですよ。」

「そうだな~。」

「先輩先輩。くじ引きやりませんか?」

「そうだな~。」

周りのカップルを見てやられている俺とは違い、結花はとても楽しそうだった。あ⁉勘違いしないでほしいんだけど、別に楽しくないわけではないからね⁉ちょ~っとだけ俺には刺激が強すぎるってだけだから……。そんなことを考えていると、

「先輩。大丈夫ですか?疲れているのなら今日はもう帰りましょうか?」

「いや、全然大丈夫だ。周りの人を見て、ちょっとびっくりしていただけで……。それに、結花今日のこと楽しみにしてただろう?」

「そうですけど……。でも、先輩の健康が何より大事なので……。なのできつかったら言ってください。」

「わかった。」

俺がそう言うと、結花はスマホを出して、時間を確認すると、

「あ⁉ヤバイ。もうこんな時間……。先輩。すいません。ちょっと急ぎますよ。」

そう言って結花は俺の手を引いて走り出した。

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