第23話世界崩壊を導く剣

ドルクスと刹那たちを退けて世界の危機を救うことができたアゴノたちは、その活躍が世間に大きく賞賛され一躍有名になっていた。

「アゴノ君、基地の前にマスコミが殺到しているよ。どうする、アゴノ君?」

教授がやれやれという表情でたずねた。

「相手をするしなないか・・・、今行きます。」

そしてアゴノは玄関のとこのへ出た。

「あっ!!アゴノさん!!世界の危機を救った感想は?」

「やはり一連の火山の異常的な活動は、あなたと敵対する組織によるものですか?」

アゴノたちに関して世間的に知っていることは、『未来からやってきた、パワー・ストームという不思議な力でどんなことでもできてしまう、謎の多い組織。』ということである。わかっていないことが多いため、SNSでは都市伝説めいた憶測とかもかなり多い。

「あー、今回もこの時代のみなさんに本当に多大なるご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」

アゴノはマスコミたちの前で地面にうつ伏せになった。

「あれ・・・?アゴノさん、どうしました?」

「アゴノさん、どうしました?急にうつ伏せになって。」

「ちょっとアゴノ君!いきなり五体投地ごたいとうちしたら、みんな驚いちゃうよ。」

野木さんがアゴノに小声で言った。

「あ、野木さん。やはり来ると思っていたよ。」

「それで、今回も例のダーク・サイエンス絡み?」

「はい、あいつらラブァー・モンスターという溶岩の生命体みたいなものを使って、世界中の火山を異常なまでに噴火させていました。このままほっといたら、世界が滅ぶ可能性もありました。」

「それは大変なことでしたね・・・、それでダーク・サイエンスの状況は?」

「今のところは何もしてきませんが、油断ならない相手だということは理解しています。近いうちに必ず先ほどのようなことをしても、何もおかしくない相手です。」

「そういえば、アゴノさんは一刀刹那についてご存知ですか?今世間を騒がせている、テロ組織です。」

「ああ、最近話題の秘密組織ですか。どうもあいつらと絡んでいる様で・・。」

「あいつらというのは、ダーク・サイエンスということですか?」

「ええ、間違いありません。そのテロ組織が活躍しているのは、ダーク・サイエンスが裏で糸を引いているからです。」

それからアゴノはマスコミの取材を受け続けたが、やがて警察がやってきたのでマスコミたちは帰って行った。

「アゴノ・・・、またマスコミに自慢話ですか・・・。」

「いえいえ、ただ取材を受けていただけです。」

アゴノと刑事が話す様子を、教授と来馬とグリムディーンがのぞいていた。

「あーあ、やっぱりこうなっちまったか。」

「なあ、遊撃隊って警察から目を付けられているのか?」

「うん、みんなから人気はあるけど謎が多いから、危険もあるんじゃないかと疑われているんだよね・・・。最初は警視庁から目を付けられていたけど、今となっては組織犯罪対策課が目を付けているんだよね。」

「それって、マル暴ってやつじゃ・・・?」

「ああ、おれたちはヤクザと同じということさ。」

そしてアゴノは三十分ほど刑事と会話した後、秘密基地に戻ってきた。

「やれやれ、刑事の相手をするのは疲れるな。」

「ご苦労様、それよりもこれからドルクスがどう出るかが問題だ。」

「いつまで刹那と一緒にいるつもりなんだ・・・?全く、早く離れてほしいわ。」

来馬が不機嫌に言った。

「もしかしたら、またラブァー・モンスターのような危険なものに手を出している可能性がある。そうなったらまたヤバイことになるのは間違いない・・・。それまでに力をつけないとな・・・。」

アゴノは近い未来を見つめるようにつぶやいた。








一方、ドルクスと刹那の拠点では刹那がドルクスを問い詰めていた。

「アゴノに負けてばっかりだけどさ、何でいつもそうなの?いい作戦を立てているけど、そのせいでいつも失敗しているじゃないの。」

『わかってるんだよ!!自分でもなぜアゴノに勝てないのかわかんないんだよ!!』

ドルクスは冷静なイメージに合わないような怒り方をした。

『あいつは運命と勝利の女神から寵愛されているとしか思えないほど、おれに勝てているんだ!!アゴノにはアースライゴンという強力な後ろ盾があるように、おれにもダーク・サイエンスという強力な後ろ盾があるんだ!!なのに勝てない・・・、本当はおれの方が優れているのに・・・、選ばれた者が憎い・・・。』

刹那はドルクスの憎悪と悔しさが混ざった表情に、怪物を見たかのように顔を引きつらせた。

「あーあ、タブーに触れてしまったね。」

「シュウ・・・、タブーって・・・?」

「あいつが一番気にしていることだよ、キレているあいつが一番面倒だからな。」

『シュウ、黙らないとお前からやるぞ・・・。』

「こりゃ、失礼しました。それはそうと、刹那からとっておきの情報があるんだよね?」

『何だと?それは、一体なんだ?』

ドルクスの態度が変わった。

「伝説の剣の話って、知ってる?」

『伝説の剣・・・?なんだ、そのRPGみたいな話は?』

「イギリスの奥地にある山の頂上に、無限の勇気と才覚を与える伝説のつるぎあり。しかしその剣、幾千もの英雄の霊魂秘めし故にその力に耐えられず、気が狂いて谷底に落ちる・・・。これが伝説の大剣よ。」

『その大剣が欲しいのか・・・?』

「そうよ、その剣を私が手にしてアゴノと戦うのよ。どう、いいアイデアでしょ?」

『何がいいアイデアだ、お前が手にしたところで谷底に落ちるのがトドの詰まりじゃないか。』

ドルクスは刹那を軽蔑した。

しかし刹那はドルクスに対して驚くべき提案をした。

「それで私が伝説の剣を持った瞬間、ダークパワーストーム・フュージョンをすればいいのよ!!」

『お前・・・、伝説の剣と融合するつもりか?面白いことを言うが、それでお前がどうなってもいいという覚悟はあるのか?』

「そんなの当然じゃない、あんたほどではないけど私だってアゴノに対して悔しい気持ちがあるんだよ!」

『お前・・・、生意気なことを。だが簡単にお前を融合させるわけにはいかない、ダークパワーストーム・フュージョンのエネルギーに耐えられる肉体と精神力が必要なんだ。だからお前を強化する必要がある、覚悟はいいか?』

「ふぅ・・・、わかったわ。伝説の剣と一つになるためなら、なんだってして見せるんだから!!」

刹那が決意の眼差しで言った、そしてそれから刹那は自身の肉体と精神を鍛えるために、日々を費やしていくのだった。








それから一ヶ月後、アゴノが秘密基地にて仕事をしていると、突然虫の知らせがアゴノにやってきた。

「なんだ・・・、この強い嫌な気配は。ドルクスに負けないほどの、どす黒い闇の気配。さてはまた何か危険なものに手を出しているというのか・・・?」

「アゴノ様!なんだかとても嫌な予感がします!!」

来馬がアゴノのところへやってきた。

「私も同じ事を考えていた、これはかつてない危機を感じる。」

『アゴノよ、これを見るのだ。』

パワーストームがアゴノと来馬に、ある映像を見せた。そこに映っていたのは・・・。

「嘘だろ・・・刹那。」

「あの姿・・・。ドルクス、お前は刹那に何をしたんだ?」

アゴノと来馬は絶句した。

邪悪な鎧に黒い羽、愉悦に満ちた高笑いをする刹那の姿だった。





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