第14話 ショコラ様とアラセイカ様
ショコラ様の
《リスタリカ、ショコラちゃんの手を取ってお立ちなさい》
女神様の命に従い、わたくしはショコラ様の鎧の背に回した両の腕を解いて、ショコラ様と目を合わせた。
そして、ショコラ様の小さな手を取り立ち上がった。
わたし達の左前には
『皆、ここまでありがとう。
皆の尽力により、この尊きショコラは、わたくしが顕現しアールトネン伯爵家令嬢リスタリカの庇護下に入りました』
『そして、こちらの黄土の鎧をまといし者はショコラの兄アラセイカです。アラセイカは妹を救おうと奮闘した結果
残念ながら悪しき魔に心を侵されてしまっております。廉神殿の騎士たちにアラセイカを委ねたいと考えます。
よろしいですか?』
「はっ。天上の崇高なる理科の御方のお言葉に異存などあるはずがございません」
廉騎士団を率いているのであろう髭を蓄えた殿方は、そう答えられた。
『アラセイカ。廉神殿の者たちに導かれ、清廉なる心を取り戻されることを願います
清廉なる心を取り戻せた時には、醜くなってしまったその姿も清められることでしょう』
『わたくしたちも皆、廉神殿へと向かいましょう』
「「はっ」」
善政と理科の女神様のお言葉に、皆が動き始めた。
悪しき魔に心を侵されてしまったアラセイカ様、元はどれほど清らかな御顔をなされていたのだろうか……
後ろの方に控えていた2人の廉騎士たちに両脇を抱えられながら、紫紅色の室を出ていかれるアラセイカ様の
(ただ、どれほど清らかになられようともタルヴィッカ様の御顔の方がわたくしには尊いのだけれども)
わたくしの側に跪き女神様が歩き出すことを静やかに待たれているタルヴィッカ様の御姿に視線を移したわたくしはそう思った。
気がつくと、
「ショコラ様、参りましょう」
「はい」
わたくしはショコラ様に微笑みかけ小さな手を軽く引き、歩を小さく踏み出した
タルヴィッカ様に護衛されながら、わたしとショコラ様は、廉騎士団の背を追いながら、ミルハザーディンの廉神殿を目指した。
崇高なる御力を発揮なされ続けた女神様は、静やかに休まれているようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます