第12話 VS陣フウガ③~左手に剣を右手に盾を~
「・・・・・・ホノオちゃん」
「ふむ、溫井殿は勝負に出たみたいでござるね」
ハナとカゲ丸は待機席でホノオとフウガのバトルを見ていた。
ホノオの行動に心配そうに呟くハナに対し、カゲ丸は何処か感心する。
「防御タイプ同士のバトル、どうなるか予想出来なかったでござるが・・・・・・。なかなか面白いバトルになりそうでござるな」
カゲ丸は嬉しそうに言うと再びフィールドでと目を向け。
「ただ、勝負に出た以上、どう転ぶか解らないでござるが」
厳しい視線をホノオに向けるのであった。
※ホノオ視点
スキル・左手に剣を右手に盾を。
その名の通り、左手に剣、右手に盾が出現し攻撃と防御を同時に出来るようになる両腕用スキル。
攻撃したいけど防御を捨てたくないと考えたアタシはこのスキルに目を付けた。
このスキルと相性の良いスキルを採用、対防御タイプのスタイルでバトルに、陣フウガに挑むことにした。
これが凶と出るか吉と出るかは・・・・・・、アタシの動き次第だ!!!!!!
「脚部スキル・アタックスタイル発動!! これによりスキルの攻撃力は上昇!! もう一度、攻撃!!」
【みゃっ~!!!!!!】
「風来!! 受け止めろ!!」
【おうよ!!】
両腕でムギの攻撃は塞がれる。塞がれるなんて予想の範囲内。
塞がれた反動を利用してフウジンタイガーから距離を取る。
さあ、陣フウガ、どう動く?
「いや~、最初から全力ですか」
「・・・・・・貴方とアタシのバトルは長引きそうだからね」
「ふうん。溫井さんは案外、せっかちなんやな」
クスクスと陣フウガは笑う。
長引けば長引くほど、陣フウガが有利になるのが目に見えている。
相手を追い詰める戦法を得意としている陣フウガはワザと時間ギリギリまで相手を追い詰める(原作プロフィール欄より)こともあるらしいから早めに決着を付けたい。
自棄に見えるかもしれないけど、ちゃんと考えて行動している。
フウジンタイガーにダメージを負わせたい、それを叶える為には、アレを使わせたい!!
「でも、まあ、溫井さんの言うとおり、防御タイプは基本動かない戦い方がセオリーやからな。つまらんバトルなんてしたら観客達にドヤされそうやな。
じゃあ、コッチも本気を出すしかないか」
これは・・・・・・、来る!!!!!!
「固有スキル発動!! 風来!! ビーストモードや!!!!!!」
【承知!!!!!!】
『おおっと!! フウガ選手!! ビーストモード発動!! 会場の皆さん!! 超ラッキーです!! ハッピーです!! フウガ選手のビーストモードは滅多にお目にかかれないぞ~!!!!!!』
――おおおおおお!!!!!!
「す、すごい歓声。そんなに凄い事なの?」
「フウガは俺と違って、ビーストモードを滅多に使わないんや、ここぞという時にしか発動せん。だから、めっちゃレアみたいな扱いされんねん」
「え~と、つまり、ホノオには本気で戦うってこと?」
「まあ、そうなるな」
ライガは事実だからとあっけらかんに話した内容にチヨは思わず、ホノオは勝てるのと呟く、マフユは不安そうなチヨに不安がることはないと話す。
「いや、ホノオさんの事だからそのことは把握いや考えて行動しているのかもしれない」
「え?」
「町民大会の準決勝の動きを考えるとホノオさんならそうすると思っている」
「溫井ホノオのスキルに関する知識は半端ないからな~。ビーストモードの弱体化を知ってるならフウガにワザとそうするように仕向けたかもしれへん」
マフユの話にライガが同意する。
チヨは町民大会の準決勝戦を思い出す、確かにホノオはビーストモードに備えて行動していたことを。
「そうか! ビーストモードって解除後は弱体するんだっけ!? それなら・・・・・・」
「それはどうだろうか」
マフユはチヨの言葉をバッサリと切り捨てる。
前の話ではホノオは大丈夫と言っていたのに。
「ホノオさんはビーストモード解除後の弱体化を狙って返り討ちにあった、それを忘れたともボクは思えない」
「そ、それじゃあ、ホノオは負けるかもってこと!?」
「・・・・・・さあね。ホノオさんが負けないように応援しようじゃないか」
興奮気味だったチヨはマフユに応援しようと言われ、落ち着きを取り戻し、ホノオに向かって声援を送る。
マフユとライガはこの戦いをただじっと静かに見守っていた。
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