第11話 VS陣フウガ②

『レディース&ジェントルメン!! これより、手平水族館リニューアルオープン記念大会準決勝1回戦を始めるぜ~!!』


――わああああああ!!!!!!


『ライトコーナー!! 陣フウガ&フウジンタイガーの風来!!』


――フウガく~ん!!

――負けないで~!!

――貴方の笑顔は絶対に守る!!


『レフトコーナー!! 溫井ホノオ&ネコノコバンのムギ!!』


――ホノオちゃ~ん!! ムギ~!!

――頑張れ~!!

――陣ライガに勝てたんだから陣フウガにも勝てる!!


 最後の声援!? 何を言ってるんだ!? 凄くプレッシャーなんだけど!?

 本当にこのバトルは勝てるかどうか解らない。

 原作なら、陣フウガの精神攻撃を最終的には撥ね除け、圧倒的攻撃力でフウジンタイガーを一撃で倒すんだけど・・・・・・。

 今回はそうはいかない、いや、原作の知識は当てにならない。

 防御タイプは動かない戦い方がセオリー。アタシも相手の攻撃から受けつつ避ける程度しか動かないし陣フウガも動かず相手をジワジワと追い詰める戦法。

 正直言って、面白みがないバトルになると思う。

 だからと言って負けるわけにはいかない!!

 今回の大会の優勝者に贈られる一日貸し切り券を父さんと母さんの結婚記念日祝いに!! そしてマオさんの挑戦権は絶対に手に入れる!!

 スキル選びは凄く凄く悩んだ、そして、あるスキルに目を付けた。これなら、フウジンタイガーにも勝てる・・・・・・・・・・・・ハズ。


『両者準備は良いかな!? レッツダイブ!!』


 ジン・キョーの合図と共にシンクロダイブが行われる。

 この意識を引っ張られる感覚、未だに慣れない。


 目を開けると広がるのはいつもの、真っ白い空間じゃなくて珊瑚礁が広がる蒼い海の中、巨大な魚たちが泳ぐ姿は圧巻。


「うわ~、ムギ目線で見るとすっごいな」

【みゃ~】

「ムギもそう思う?」

【みゃっ!】

「確かに、この中じゃ、これからバトルするって気分やあらへんですな」

【フウガの言うとおりやな。落ちつかへん】


 キョロキョロと感激しながら見渡していたら、目の前に白虎を思わせるロボ、フウジンタイガーが。

 目(と言って良いのか)が合うと自己紹介と共にペコリとお辞儀された。


【初めまして、フウジンタイガーの風来と言います】

「此方こそ初めまして、溫井ホノオです。この子はネコノコバンのムギです」

【みゃ!】

「僕は・・・・・・って自己紹介しなくても大丈夫か」

【珍しいな、フウガが冗談を言うなんて緊張しいとるんか?】

「風来、僕はいつも戦う時は緊張しとるで」

【・・・・・・・・・・・・】

「風来?」

【いや、お前がそう言うなら緊張しとるんやなと思っただけや】


 不穏なんですが。

 陣フウガと風来の最後当たりの会話が不穏なんですが!!

 陣フウガは何か隠してるの?


『二人とも、準備は良いかな?』

「は、はい」

「準備は出来とるで叔父さん」

『フウガ! 此処で叔父さん言わない! ごほん! 気を取り直して・・・・・・、レッツバトル!!!!!!』



※???視点


「ねえ、どっちが勝つと思う?」

「・・・・・・・・・・・・」

「ねえってば!!」

「わわっ! お姉ちゃん、どうしたの?」

「どうしたのじゃない! 聞いてなかったわね! どっちが勝つか聞いたの!!」

「う、う~ん、どっちが勝つか私は解らないかな・・・・・・」


 フィールドに目を向けるとバトルが始まっていた。

 余りの衝撃、溫井ホノオの性別が女性なのは薄々解っていたからそんなには驚かなかったけど、使用ロボがマイナー中のマイナーロボであるネコノコバンを使ってることに驚いて、時を止めてしまっていた。

 いや、主人公の溫井ホノオのロボはホムラドラゴンでしょ!?

 なんでネコノコバン!?

 なんで??


「そうか解らないか~。アタシはあの猫ちゃんロボが勝つと思うな~。可愛いから!!」

「アハハハ、お姉ちゃんらしいね」


 姉が勝つのはネコノコバンと言ってるけど、正直に言うと勝つのは難しいと思う。

 フウジンタイガーの方がネコノコバンよりもステータスが上だ。

 と言っても、テノヒラロボはスキルがあるからある程度は戦えると思う。

 ん? そう考えると勝つのはやっぱり・・・・・・。


『おおっと! ホノオ選手! 攻撃した~!!』


「え?」


 私の目に映ったのは左手に剣を持ち、右手に盾を持つネコノコバンだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る