第7話 大麓マオ視点有り

※大麓マオ視点


「マオさん、準備はいいですか?」

「ええ、大丈夫よ」

「それでは、開会式が始まるので宜しくお願いします!」


 今、私、大麓マオは父が支援した水族館で行われる大会の開会式に参加している。


 この水族館が両親が始めてデートした思い出の場所らしく、経営難で潰れると聞いて父は真っ先に思い出の場所を潰したくないという思いから支援を名乗り出た。

 そして、父が呼びかけたことにより支援者が集まり、無事に水族館はリニューアルオープンという形で復活、それを記念した大会の優勝賞品の一つに支援者である父の娘であり、日本大会連続準優勝者である私の挑戦権を贈られることになった。


 最初は大会に出場してほしいというお願いだったが、それじゃあ、面白くないと思って、思い切って言ってみたのだ。


――それなら、大会の優勝者に私への挑戦権を贈るのは?


 それを聞いた水族館側は面食らっていたけど、ユウマ以下とは言え、私も有名人、良い宣伝になると言えば、乗り気になってくれて、今に至る。


 挨拶の為に壇上に上がると参加者達が一斉に私を見る。

 その中に彼女、溫井ホノオを見つけると心の中でニヤリと笑った。


 私が挑戦権を思い切って言ってみたのは彼女、溫井ホノオと戦う為だ。

 自分で言うのもあれだが、きっと、彼女も私と戦いたいと思っているに違いない。

 その為にこの大会を利用する事にした。


 でも、彼女は優勝出来るのだろうか?


 彼女だけでなく、雪野ハナさんと陣フウガくんの姿を確認した。

 あの二人が参加するということは、この大会は町民大会の時と同じようになるだろう。

 ふふ、彼女がどう勝ち上がっていくるのか楽しみだ。


 さて、挨拶をしないと・・・・・・。


 げ。


 私の視界に入れる場所に金髪の男いやユウマが立っていた。

 しかも、不機嫌を隠さず腕を組み私を睨んでいる。

 怒ってるな、あれ。

 挨拶が終わったら、スタッフにユウマが来ているから私の所に通すように言わなきゃ・・・・・・。






※溫井ホノオ視点


 開会式、マオさんの挨拶が終わると大会が始まった。


 それにしても、マオさん、終始、顔が強ばってたけど何があったんだろう?

 背後から凄く冷たい空気が流れてたけど、それのせいのかな?

 さて、今はスタッフさんに案内されながら会場に向かっている。


 今大会は町民大会と同じく、ABCDの四つのブロックに分かれ、各ブロックの勝者が準決勝に進むトーナメント方式になっている。

 見事、アタシとハナちゃん、陣フウガ、薄井カゲ丸はバラバラに分かれ、アタシはCブロックに割り当てられた。

 最初の対戦相手は誰だろうな~と考えながら歩いてると、ふと、此方を見ている少女と目が合った。

 ヒバナと同い年ぐらいの子だ。

 迷い込んじゃったのかな?

 黒髪に前髪の真ん中だけが赤色・・・・・・、何処かで見たことあるような、ないような。


「君、立ち止まってどうしたんだい? もうすぐ着くよ」

「すみません、行きます!」


 スタッフさんに声かけられちゃった。

 もう一度、少女が居た所を見ると少女の姿はなかった、なんだったんだろう?





※???視点


「あ、危なかった~」


 飲み物を買いに行ったら、迷うとはついてない。

 迷った先は大会参加者用の通路だ、おかげで大会参加者と出会うところだったよ。

 まあ、目が合っちゃったけど。


「それにしても、あのお姉さん、髪が赤かったな、主人公の溫井ホノオみたいだった」

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