第6話
フウガがホノオに復讐の炎を燃やしてる頃。
「ハナ、一人で平気かい?」
「平気ですよ。兄様は観客席に早く言った方が良いのでは? そろそろ、良い席が取られてしまっているかもですよ」
「そうだね。それじゃあ、ハナ、行くよ」
ド派手な私服に身を包んだマフユを見送るとハナは一人、待合室へと向かった。
心配する兄を過去の出来事を考えると仕方ないとハナは思う。でも、その反面、少し成長しているのだから安心して欲しいと思ってしまう。
待合室に入ると、皆、一様にハナを見る。
憧れの視線で見る者。
畏怖の念を込めて見る者。
そして、嫉妬まみれの目で見る者。
様々な視線にハナはさらされる。
これも仕方ないことだと表情に出さないよう、ハナは待合室に入ると、一足先に待合室に入っていたホノオが。
「ハナちゃん!」
此方に軽く手を振る。
ホノオがハナを見る目は今までの目よりも温かなものでハナは「ホノオちゃん!」とホノオの隣に座った。
「ハナちゃん!」
「ホノオちゃん! 此処に居たのね。座っても?」
「いいよ」
にこやかにアタシの方に駆け寄ってきたハナちゃんに悶える。
やっぱり、可愛いおんにゃのこの笑顔は良いな~♡
「随分、仲が良いんですね~」
「そう? へへ、そう言われたことなかったから嬉しいな」
「確かに溫井殿と雪野ハナ殿は非常に仲が良いでござるな」
「おわぁっ!!!!!!」
陣フウガに声をかけられたと思ったら、今度は上から現れた薄井カゲ丸に声をかけられて驚きの声を上げると薄井カゲ丸から怪訝そうな顔をされた。
いや、普通に驚くから・・・・・・。
「そこまで驚くことはないでござろう!!」
「いや、普通は驚くで。自分もびっくりしましたわ~」
「あまり、そういうのは止めた方が良い」
「うう・・・・・・」
ハナちゃんと陣フウガから追撃され、涙目になる薄井カゲ丸を見て、さすがに可哀想と思う。
「まあ、確かに驚いたけど薄井君は忍者だからね。そういう登場したんだよね?」
「!! そうでござる!! 溫井殿は解ってくれたか!! あっはっはっは!!」
「あは、はははは・・・・・・」
「話戻すけど、薄井くんやったっけ? この二人の仲の良さは有名なん?」
陣フウガが話の流れを戻してくれたおかげで薄井カゲ丸は高笑いを止めると真剣な顔つきになった。
なに? 何を言おうとしてるの?
「実はお二人の仲の良さは結構、知られているのでござるよ」
「そうなの?」
「うむ。雪野ハナ殿は人とあまり関わらない人でござる。それで話が広まったと思うのでござるよ」
「・・・・・・・・・・・・」
そういえば、ハナちゃんは雪野マフユ関連で友達だと思ってた子に裏切られたという過去を持ってるんだった! 忘れてた!
それで、序盤のハナちゃんは無表情無感動の無口系ヒロインだったけど主人公と関わっていく内に本来の素直な性格に戻っていく、時折見せる笑顔に萌えていたことを白状します。
薄井カゲ丸の話から、原作と同じ事がハナちゃんに起きたということか。
ハナちゃんは有名人だし、親しくしてたら話も広まるわけだ。
「その仲の良さに雪野マフユ殿が関わってる、溫井殿と雪野マフユ殿が付き合ってるからって噂が・・・・・・」
「「はあっ!?」」
ほぼ同時にアタシとハナちゃんが声をあげる。
なんだ、その噂!?
アタシと雪野マフユが付き合ってる!? なんだそれ!?
有り得ないって!!
「いやいやいや、まって。なにそれ? なにその噂!?」
「兄様は確かにホノオちゃんにご熱心・・・・・・、いや、興味をお持ちだけど、そんな仲ではありませんよ! ホノオちゃんに失礼です!!」
「あくまで噂でござるよ。でも、その様子だと只の噂でござるね」
「うん、只の噂だよ!! アタシと雪野マフユが!? 月とスッポンだってば!!」
アタシとハナちゃんが薄井カゲ丸に噂の出所に関して詰め寄ってる隣で。
「雪野マフユが溫井さんに好意、好いてるのは明らかやと見れば解るんやけどね~。これは溫井さんに好意があるとハッキリ伝えないと無理そうですわ」
と言ってたとか。
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