第9話

「支えてくれてどうもありがとう...」


「あ、いえいえ。どういたしまして」


「それにしても、どうしたんですか?

眼鏡もかけてないし、普段はキリッとしてるのに、今は、、その、、」


まさか、普段は隙なんて見せないなのに、

今は隙だらけで、俺が思わずハグしても

怒らなさそうなんて口が裂けても言えない。


「あー、、メガネ??」


「そういえば、かけてないな、、

居酒屋に忘れて来たかな...」


物忘れなんて一切しない人。

仕事のミスなんて一切しない人。

で、山野井さんは有名だった。


それなのに。


目の前にいる山野井さんはおかしいぞ。


「居酒屋?もしかして、お酒、飲んでたんですか?」


「う、うん...」


俺は彼女を支えながら、淡々と質問攻めにした。


「大丈夫ですか?歩けますか?」


「う、うん、、山吹くんが肩を抱いてくれていたらなんとか...」


お、俺を頼ってくれている...!


う、嘘みたいだ、なんか。


彼女と歩みを進める、俺。



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