Epilogue of her

後夜〜エピローグ〜

 今、私たちが生きている世界が全部夢であるならば、夢のままでいい。


 苦しい災害が、辛い疫病が、息苦しいこの社会が、真っ暗な夜の世界という現実なんて忘れてしまえる夢。


 もしそうでないのならば、私は幸せ者すぎる。


 『世界は夢のように素晴らしい』説は真実だ。そう思える程に私は今幸せなのだ。


 そう、まるでロマンチストのように。


 なぜなら、最高の恋をしたから。


 彼は私の前に彗星のごとく現れた救世主にして、つまらなかった日常を彩るたった一つの存在。そしてこれから私と共に生きてくれる人。


 彼は私が困っているとき、いつも手を差し伸べてくれた。


 私がどこにいようと会いに来てくれた。


 そんな犬飼昴介君に私は恋をした。


「琴」


 そう呼んでくれることが本当に嬉しい。


 本当に幸せな日々だ。


 二人で色々なところへ行き、色々な音楽を聞き、色々な本を読み、お互いの色々なことを知った。


 授業中はどうやって学校を抜け出して遊びに出かけるか考えるとか。


 宿題のプリントを燃やす妄想をするとか。


 もしも願いが三つだけ叶えてもらえるなら何を願うかとか。


 他にも、川へ遊びに行ったり、ショッピングモールへ出かけたり。


 そして一緒にお父さんと戦ったり、地球を救ったり。


 小さな冒険から大冒険まで。


 これからどうしようか。 


 たくさん悩もう。時間はいくらでもある。


 そして今の私たちなら何でもできる。


 あなたとならどこへでも行ける。


 もう私たちを止めるものはない。


 長い長い夜はもう明けたのだから。


 あなたという恒星のおかげで。

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星夜七夜物語 Starians Nights 雨瀬くらげ @SnowrainWorld

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