監視カメラ

最近、家に帰ったら部屋が荒らされている。

通帳、印鑑、高級ブランド服、へそくり等の金品は何も盗まれず、ただ部屋が荒らされている。

気になった私は、部屋の隅に監視カメラを設置した。





アパレル関係の仕事に就いている私は、いつも通りお客様に洋服を提供している。

「お客様、お似合いですよ〜」

お客様それぞれに似合うであろう洋服を提供し、お客様が喜んで試着をする。

気に入ったお客様は、私が選んだ洋服を購入する。

それだけで私は幸せだ。

「彩乃さんはセンスあるわね〜」

少しオネエ気質の店長が私を褒める。褒められると気分が良い。

それから私は、世代によって洋服の組み合わせを変えたり、今流行りのブームに乗っかってマネキンに洋服を着せたり自由に好きな事をやらせてもらってる。

「いいわね〜」

その度に店長は、褒めてくれる。

ストレスフリーな仕事に就けて私はとても幸せだ。

なのに家に帰ると部屋が荒らされている。

季節モノの洋服や一着十万のする高級ブランド服等が部屋中に散らかっている。

私は、隅に設置した監視カメラを確認する。

映像には、荒らされる前の部屋が映っている。

私が仕事場に行く時だ。

最初は何も起きないから私は早送りする。

すると、映像に変化が。

ドアが開き、"誰か"が侵入してくる。

私は、"誰か"を凝視する。

だが、映像が乱れていて肝心な顔が見えない。

その"誰か"は、どういう気持ちでやっているのか理解出来ないが、ただ私の部屋を荒らしている。

洋服を足で蹴ったり、土足で部屋中を歩き回ったり、洋服を破いたり奇怪な行動ばかりしている。

段々"誰か"の行為が許されなくなり、監視カメラを止めたのだが、何故だか"誰か"の姿が黒いままだ。

まるで人影が私の部屋を侵入しているみたいで気味が悪かった。

そうして監視カメラとにらめっこして早四、五分が経った頃。

凄い速さで"誰か"が消えていった。

何処に行ったんだろう?

気になった私は、監視カメラを逆再生する。

すると……

「クローゼットに入っていった?」

"誰か"が最後にクローゼットに入っていったように見えた。

私はもっと確認しようと監視カメラを凝視する。

後ろから気配を感じても尚、凝視する。

そして背中に嫌な汗が流れた瞬間。


後ろから鈍器らしき物を振り下ろす音が聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る