第35話
アンジェリンと千鶴子との付き合いは、彼女達が26歳位の時に突然終わる。それは突発的だった。 近況を互いに教えあっていたアンジェリンと千鶴子だ。だからこの頃にはアンジェリンも千鶴子をもう友達だと認識していた。だから手紙が来るのは当たり前だし、自分もよく 出していた。 もうアメリカ時代の時の出来事など忘れて いたか、過去は過去だとして割り切っていた。あの頃は10代の終わりから、20代に入ったばかりの頃だ。今よりももっと若かったのだから多少の事は仕方がないと思う様にしていた。狐憑きの事も自然と忘れたか、 もういい加減に千鶴子からは離れて別の人間に憑依した位に思っていた。 だからアンジェリンも自分の仕事についてを手紙に書いたりしていたので、ある時期から水商売をする事になるのだが、それに付いても相談をした。そして千鶴子はそれに付いて、物凄く反対した。 彼女は、絶対にやめろと強く言った。そんな仕事をするのならもうアンジェリンとは絶対に付き合わない、もう完全に縁を切ると言って。 だが、前の仕事を辞めてからは、母親に早く何でもいいから仕事を探して就く様にと毎日、夜になるとしつこく言われてうるさくてかなわなかった。 そんな時に友達と映画を見に行った帰りに、そのビルの前に張り紙がしてあるのを見た。フロアレディ募集、と書いてある紙を見た。フロアレディ?何だろう。多分ホステスの事だな? 彼女はそれに応募する事にした。電話番号を素早く暗記してから急いで手帳に書き込んだ。 だが直ぐには電話をせずに、悩んでいた。 そして千鶴子にも手紙を書いてどうしようかと相談した。だが気持は、7割はやってみようかと考えていた。未知の世界だが、とり あえずは仕事を得られるかもしれないからと。 だから千鶴子からの返事が来た時にはもう既に面接をして、その店に何日か出勤していた。 だから千鶴子へは直ぐに返事を書いた。今はもう働いているが、別に何も怪しいだとか変な仕事でもないと。しばらくはやってみようと思うと。 すると返事は来なかった。ではあれは本当にそうなのか?本当に自分とは縁を切ったのか? アンジェリンはもう一度手紙を出してみた。千鶴子はホステスと言う仕事を誤解していると。そんなに酷い仕事ではないから、余り 馬鹿にしないでくれと。同い年だし、もう せっかく何年もこうして付き合いがあったのだから、今まで通りで 良いのではないかと。 正直、その頃は千鶴子からの手紙が来て読むのは、アンジェリンにとっては楽しくもなっていたのだ。 だが返事は来なかった。 千鶴子は、夜の世界に入ってしまったアン ジェリンの事などもう相手にできなかったのだ。もう相手になどしたくない!例えば又 何かの時に、もう堂々と誰かに紹介ができない。そんなホステスをやっている、水商売などやっている女などを。だからだ。 利用価値が無くなったら速切る。もうアン ジェリンは必要無い。 そうして千鶴子からはもう二度と連絡は無かった。 千鶴子はやはりそうした人間だった…。秋川が言った通りだし、恐らくはまだあの狐の霊も着いているのだろう?! だがこれで良かったのかもしれない。あの しつこい千鶴子が、自分から関係を断った。そうでなければずっと又何かの時に利用されていたのだろう。友達のふりをして、実は フレネミーなのに…。 そう、あれだけしつこかったのが、呆気なく終わったのだから!! (終)
アンジェリンの物語(カリフォルニアでの狐憑き編) Cecile @3691007
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます