第34話

千鶴子は非常に喜んで、アンジェリンを丸で変わってないと言った。アンジェリンも、 千鶴子は別に変わってないと思った。   千鶴子は他に二人の同僚を連れていた。彼等も添乗員だ。二人共千鶴子や自分と同じ位の年で、男性と女性だった。        その片方の男性の方に付いては、千鶴子の 手紙の中でさんざん聞いていた。ダサいし 見た目は良くないけど、賢くて面白いから 好きだといつも書いてあった。だから彼氏にしたいと。だが丸で脈が無いといつも残念がっていた、そうした内容だ。       千鶴子はこの二人にアンジェリンの事を、 アメリカに留学中に知り合ったと言って誇らしげに紹介した。二人共、アンジェリンが ハーフなので少し珍しそうだったが、感じは良かった。               恐らく千鶴子はこれがしたかったのだろう。アメリカにいたというのが、アンジェリンを紹介すれば更にインパクトが強い。勿論手紙にも書いてあった様に、現地の人間に会って、案内をしてほしかったのもあるのだろうが。                  だからアンジェリンは観光地である、自分の高校があるエリアの高級住宅地件観光エリアを千鶴子達と共に歩きながら、少し説明したりをした。               そうして別れた。彼等はホテルヘ戻らなければならなかったからだ。         その後も、千鶴子とはまだ文通が続いた。 アンジェリンは千鶴子とのこうした付き合いがもう当たり前になっていた。互いに近況を教えあった。              アメリカの寮の部屋での事やサンタモニカでの事があったのだから、到底信じられないが、こうしてアンジェリンにとっては千鶴子が人生の中の一部になっていた。     何故だろう?まさか犬人間と狐憑きの女だから、同じケイナイン(canine)だからだろうか?!?! それとも只同い年だったからか?!                 それは、当時のアンジェリンは馬鹿が付く程のお人好しだったからもある。それは秋川がアンジェリンに千鶴子の事で注意をした時にも言っていた事だ。           だがその時に秋川はこうした事も言った。 千鶴子は馬鹿を装う、と言うかわざと子供 じみた様な話し方をしているが、あんなのは演技だと言っていた。ああした話し方をしていれば他人に上手く取り入り安い。そして頭が良くは思われないから安心され安い。だからわざとやっていると言うのだ。     だが本当はあいつは馬鹿でも頭が悪くも無いし、むしろ頭が良いと。そして本当はアン ジェリンやドリーよりも賢いと。     だから、悪知恵が発達している。だがそれでも、調子に乗って余りにしつこいし変な事を色々とやったりしていたから、周りにも段々とおかしく思われ始めた。だから男子生徒の誰かがスッポンみたいだと言って、そんな変なあだ名が着いた位だと。        だから賢い千鶴子は自分に都合が良いだとか利用価値がある人間を選び、取り付くと言っていた。そしてアンジェリンもその一人だし、特に隣の部屋にいたのと英語ができたのが狙われた理由なのだと。        だが本当にそれだけなのか?ではダンが言った、男並の凄い力を出して自分と張り合ったという事や、アオモリーノが急いで部屋に アンジェリンを向かえに来て連れて行き、後から何故自分の部屋に彼女がいたのか丸で 分からなかったのはどうした事だろう?  あれらは何と説明できるのだろう?又、アンジェリンが千鶴子の食事をしている様子を 見て、フォークを使ってはいても、丸で獣が何かを食べている様に見えたのは何故だろう?まさかわざと皆がいる所でそんな変な 食べ方をする訳がないだろうに?     きっと秋川が言った様な、元が嫌な変な人間だったのだろう?それだから、ああして狐憑きになった。これが一番説明がつく?!  そして、その千鶴子はある時期からアンジェリンとは丸で付き合わなくなる。その理由も、やはり彼女がそうした人間だったからだろうか…。

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