第3話 ついてるわよ

 何回されても告白にはドキドキしちゃうわね。

 ありがたいことに、実は今までも告白されたことがあるのよ。

 明らかに、女の子にしか見えない外見のせいだと思うわ。


 アタシはエルフ母ゆずりの金髪緑目で、ハーフエルフだからか普通の男子よりもなよっとしているのよ。

 成長速度も普通の人間と違うみたい。8歳なんだけど、まだ5歳くらいの大きさしかないの。

 女子にねだられるまま髪を伸ばしているから、金髪はもう肩を超えて余裕でおさげができるくらいになってるわ。


 つまりカワイイ小さな女の子にしか見えないのよ。 


 告白の初めの頃なんて「わたし大きくなったらお父さんとけっこんする!」って言われている気分を味わえたわ。

 あ、男の子からだから、「ぼく、大きくなったらお母さんとけっこんする!」の方かしらね。

 そのたびに、「あらあら、うふふ」って、微笑ましくて嬉しくなったわ。


 ちょっとヒドいかもしれないけど、ぶっちゃけ他人事だったのよ。

 だって草太としてアラサーまで生きて、この体では8歳だから、アタシ精神的にはアラフォーなのよね。

 さすがにヒトケタ台のお子様からの告白を本気に受け取れないわ。嬉しいけど。


 毎回「ありがとう、嬉しいわ」ってお礼を言ってから、すぐに男だって話していたのだけど、なんでかみんな全然納得してくれないの。


 最初は女子も手伝ってくれて「男だけど聖女効果があるから聖女候補として教育を受けている」「1人だけ制服が違うのは良くないから男だけど一緒のスカートをはいている」って根気よく説明してたんだけど、あまりにも通じないから、最近じゃ直接的な方法になったのよ。


「ざーんねん」

「男でしたー!」


 バサッと女子の手で、アタシの聖女候補制服のスカートがまくられた。


「!?」


「見えたよね?」

「ついてたよね?」


「そ、そんなぁ」


 いちおう言っとくけど、アタシちゃんとはいてるわよ。


 女子はカワイイふりふりな見せパンみたいなのをはいてるんだけど、男子のって草太世界でいうボクサータイプなの。

 ぴっちりした布地だから、ちっちゃくてもモッコリがくっきりわかるのよねぇ。

 恥ずかしいんだけど一瞬で納得してもらえるから、女子にスカートをめくられるのは我慢してるの。


「うぅ」


「ほら、こっちで一緒に遊びましょうよ」

「行きましょ」


 女子たちは半泣きの男の子と見物していた子たちを囲んで連れ去ってくれた。

 ほっとしていたら、ぐっと肩をつかまれた。


「それ、つめものだろ?」


 えぇ? まだ納得してくれてない子がいたの?


「失礼ね。本物よ!」


「信じられない」


 じろじろアタシの全身を見てくるこの子は、さっきの男子よりも大きいからアタシよりも年上なのかもしれない。まぁ年上って言っても、10歳かどうかってくらいだけどね。まわりに流されてくれないしっかりしたタイプっぽいわ。


「さわらせて?」


「お断りよ!」


「なんで? 男ならべつにこまらないだろ?」 


 普通にイヤなんだけど、全然ゆずらないから、仕方なくアタシの部屋に連れて行くことにしたわ。

 さすがに、聖女の先生方もいる教会内でスカートの中に手をつっこまれるのは遠慮したいもの。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る