第4話(理性)
「孝介くんが困ってるから、少し間を空けたらどうかしら?」
伝令を出し続けて10分。
ついに僕達は脳さんに言われ、少し黙った。
「おい。お前は、最終的に孝介がテストに行こうと思うか?」
口火を切って来たのは「本能」だった。
「さぁね。でも、やれることはやったよ。」
僕は「本能」を垣間見、画面に映る孝介を見た。まだ孝介は悩んでいたが、僕達が送る伝令が止まり、ひとまず冷静になっているようにも見えた。
「ひとまず、僕は孝介を見守るよ。」
僕は腰かけていたベッドから腰を上げ、自室に足を向けた。
「待て。」
それを、「本能」は止めた。「案がある。」
「どうしたの?」
「今までは、俺達が全て伝令をして孝介の行く末を決めていた。今回は、孝介に全てを委ねてみたらどうだろう?」
「え?決断を任せるってことかい?」
僕の驚いた声に、「本能」は頷いた。
「このままだと、らちが明かねぇだろ?だったら孝介に全部を任せるんだ。」
「どうすればいいの?」
「あのな…全部疑問形で返せなんて言ってないぞ。」
はぁ、と「本能」はため息をついて、僕を見た。「いいか、孝介に今から2人で伝令を出すんだ。」
「…孝介自身で決めて!って?」
「そうだ。自由に決めろと言えば、孝介が「本能」を重要視しているか「理性」を重要視しているかが分かる。」
「なるほどね!」僕は縦に頷いた。「さすが「本能」くん。」
僕達は、もう一度脳さんを呼んだ。
そして、声を揃えて、たった一言。
「「孝介の好きなようにすればいいよ!!!」」
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