第24話 伊賀と甲賀

慧仁親王 京都大原 1522年


「作兵衛、相手をありがとう」

「いいえ、大した事では御座いませぬ。先ほど甲賀の鵜飼殿がいらっしゃり、ご一緒に殿下をお待ちしています」

「うぬ」


 部屋に入ると、そこにはまだ20代と思われる青年と10代と思われる少年が居た。

 いつもの通り、目を見開き驚きを隠せないで居る2人に作兵衛が頷くと平伏して挨拶が始まった。


「謁見有り難く存じます。某、伊賀の服部家が頭領、服部半三に御座います」

「お初にお目にかかります。甲賀頭領鵜飼孫六に御座います」

「うぬ、慧仁だ、面を上げよ」

「はっ」

「遠い所をご苦労。半三、今日は服部家の頭領として来たのか?伊賀者の代表として来たのか、どっちだ」

「伊賀の忍びを代表して来ました」

「うぬ。では、伊賀者で戦働きが出来るのは何人だ」

「はっ、180人前後になります」

「分かった。して、甲賀はどうじゃ。戦働きが出来るのは何人だ」

「はっ、200人くらいに御座います。

「うぬ、実はな、伊賀者・甲賀者を俺の家臣にしたい。もちろん半三、孫六2人は直臣だ。考えてはくれぬか」

「条件は?」

「鵜飼殿!」

「よいよい、そうだな、直臣の2人はまずは従五位だな。従五位左近衛権少将だ。さすがに手柄を立てねばそれ以上は無理だな。もちろん禄も出す。どうだ?」

「えっ」

「えっ、官職まで頂けるのですか?」

「うぬ、俺の直臣だ、当然だ。政が出来るなら半国くらいは下賜出来るが」

「いえ、忍びは表に出ない故の忍びに御座います。されど、他国へ使者として行く時は官職が有ると助かります」

「うぬ、では従四位上を約束しよう。今川より上だ、ハハハハハ」

「有難き幸せに御座います。粉骨砕身努めさせて頂きます」

「うぬ、励めよ。では早速頼みたいのだが、甲賀は越前・加賀、伊賀は能登・越中の一向一揆に人を送り込んで情報を集めてくれ。特に農民の代表者の情報が欲しい。後は、2人に連絡が取れる様に、俺に誰か付けてくれ」

「畏まりました」

「畏まりました」

「では取り掛かってくれ」

「「はっ」」


「一向一揆ですか」

「陛下が宣下くだされたのに、抵抗している様だからな。朝倉と長尾に手紙を出す。雅綱頼む」

「御意」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る