第23話 きっしょい展開

北山高校鉄道研究会の紅一点、岸川アリサが部室で時刻表と睨めっこしていると、廊下から聞き覚えのある声がだんだんと近づいてきた。

「きっしょ、マジできっしょ、きっしょ」

額の汗をハンカチで拭いながら、部員の田代が部室に駆け込んでくる。

「何なのよ。暑苦しいわね」

眉間に皺を寄せたアリサが文句を言う。

「だから、光がきっしょ」

「モーちゃんがきっしょ?今更何よ。そんなこと知ってるわよ」

アリサはため息をつくと、視線を時刻表に戻した。

埒があかないと思ったのか、田代は携帯電話を取り出し、アリサの顔の前に突き出した。アリサは「何なのよ、どいつもこいつも・・・」とぶつぶつ言いながら画面を見た。


田代がアリサに見せたかったのは、ネットニュースの記事だったようだ。その記事のタイトルを見てアリサは固まった。


サンライズ出雲で殺人事件。警察が高校生の容疑者を確保


「まさか」

アリサは慌ててタイトルをタップして、記事のつづきを表示した。


昨夜未明、サンライズ出雲号の客室で、30代とみられる男性が死亡しました。警察の調べでは、同じ車両に乗車していた高校生とみられる男性が事情を知っているとみて、この男性を捜索していましたが、つい先ほど島根県の出雲大社の境内でこの男性を確保しました。


被害者の男性と高校生の関係は明らかになっていませんが、現在、出雲警察署で取り調べが行われているもようです。

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