第22話 取り調べ室
僕の態度は真田刑事を相当怒らせてしまったらしい。僕を護送する車の中で、坊主頭の若い刑事が未成年である僕の扱いに困る様子を見せ、「とりあえず親に連絡取ったほうがいいですかね」と尋ねた際に、表情一つ変えることなく「取り調べ室にぶち込めばいい」と言い放ったほどだ。
手錠をかけられていたわけではないものの、僕の扱いは完全に容疑者だった。
取り調べ室は殺風景な部屋だった。4畳半程度の小さな部屋に、刑事ドラマでよく見るような、安っぽいデスクにパイプ椅子が2つ置かれている。デスクには、これまた安そうなライトが置かれているが、傘の部分がボコボコに変形している。いったいこの部屋で何があったのだろうか。
『やばいことになった』
意気消沈した僕は天井を見上げて溜息をついた。
真田刑事は、入口から近い椅子に腰掛けると、僕をもう片方の椅子に座るよう促した。
若い坊主頭の刑事が僕のバッグパックをデスクの上に置く。真田刑事は「どれどれ」と言いながら、無遠慮に腕を突っ込むと財布を取り出した。
真田刑事は財布の中から、僕の学生証を抜き出すと、
「望月光。京都の高校生か」
と、学生証と僕の顔を交互に見ながら言った。
「なぜサンライズ出雲に乗っていたのか答えてもらおうか」
学生証を財布に戻しながら、真田刑事は僕に訊いた。
「観光ですよ」
僕は努めて冷静に答えたつもりだったが、真田刑事の威圧感、そして、取り調べ室という独特の雰囲気に飲まれて多少声がうわずってしまった。
そのころ、北山高校の鉄道研究会では・・・
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