3.楽園島

――楽園島に行ったのは、十二歳の頃のこと。

 ジャングルに覆われたその島には教団の人々と、彼らから『神様』と呼ばれる男がいた。

『神様』の語る奇妙な教義や支離滅裂絵空事に、酔い痴れているようだった。

 島民は日々、『神様』の指示に従って一日を過ごす。

 大人は農園で働き、子供は樹脂を均等に切り分けて紙に包む。

 自分はこの島が嫌いだった。だから仕事を抜けて、楽園島の反対側に行った。

 波の静かな岬、寂れた灯台――エイハブに出会ったのは、そんな場所でのことだった。

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