第24話 ふわふわ君

 家のベッドに横になりながら、ほんとうに僕は声を出しながら言った。

「君はどこにいるんだよ…」

 聞こえているか…。


「聞こえているんだろう…」

「知らないぞ…、いいのか…」

 本当にいいのか…。

「いいんだね…、僕はホンキだよ」

 よし、やっちゃうからね。やっちゃうよ。


 電車の席が空いても僕は決して座らなかった。

 妊婦さんや年配の人が感謝しながら僕の目の前を通り座った。


 お酒をたくさん飲み、深夜番組を見てから会社に行ったが、体調はいつもよりいいぐらいだった。


「よお、一寿」

 またアキラおじさんから電話がきた。元気だね。

「俺の軽井沢の別荘よ…。最近だれも行ってないから、ちょっと見てきてくれよ。彼女いるんだろう、親には黙っててやるからよ、ちょっくら行って空気いれかえてくれよ…。な、手当はたんまり出すぜ」


 なんか、このままだと、高校のときに亡くなった、祖母まで生き返りそうだ…。

 先祖全員出てくるんじゃないか…。


 もう、怒ったよ。

*****

 残業帰りの時間。僕は私鉄のホームの片隅で周りをうかがいながら立っていた。


 僕は頭にきたんだよ。これしかないよな…。


 右から黄色い電車がホームに滑り込んでくる。もちろん通過電車じゃないからね、多少ゆっくりだけど、でもきっとぶつかったら痛いだろうな…。


 どうする? 僕、どうするんだろう?

 ふわふわ君はさ…。

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