第11話 少女の悩みーShortー

「大好きだなんて…………もぅ。」


恥ずかしさでトイレに駆け込んだ私は、個室の鍵を締めてすぐにそうつぶやいた。


「酔っ払った勢いで私なんかに告白しちゃって…。」


よ、よりにもよって、私みたいな芋臭い人と話すことが苦手で、女の子の友達すらいなくて、家事もなんにもできないしオシャレに疎い人間に告白するなんて。


どれだけ酔っ払っていたって告白する相手くらい選びましょうよ!!


私は心のなかでそう彼のことを非難するが、胸に手を当てると、


「でも、ちょっと、ほんのちょっとだけ………嬉しかった…。」


トクンとそこからは今まで感じたことのない、あたたかな感情が溢れていた。


……恥ずかしかったし初対面で何言ってんのこの人って思ったけど、ちょっとだけ、1ヨクトメートルだけときめいた。


「んもうっ!私のバカ!!」


変な想像を始めた自分の頭を殴る。


でももし、もし彼が酔っ払ってないときに同じことをいったのなら………そのときは……


「いいかも」


いいかも、いいかも、いいかも………一人しかいない女子トイレにその単語が反響する。


カァァと顔が赤くなるのを感じながら私は頬に手を当てた。


「うぅぅ…………。」


触れた頬は今ままでのどんなときよりも、


「こんなの初めてだよぉ…。」


“アツかった”


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