第22話 権力の使い方間違っているわ・・・
いつの間にか、学園の魔法研究所に所属していましたわ・・・申込書を書かされたのって、あの時かしら?ジュリアンナがいそいそと申込書を書いていた後の、自己嫌悪をしていた時よ。
今は、朝のホームルームの最中なのよ。
もう、入学式から数日経ったのだけど、副担任が未だに紹介されないのよ。何か私用で来れない事でもあるのかしら。
「皆さん、今日はやっと副担任の先生を紹介出来ます」
やっとですか・・・。
でも、担任の先生、何か力が入っているわね。
「どうぞ、お入りください」
そして、その入ってきた人物を見てみんなが
『え?』
となったわ。
この国では知らない人が居ない人物よ・・・。
「みんな~こんにちは~。私はナッターズ~。よろしく~」
何故、ナッターズ侯爵が居るのよー!!
魔法団の団長よね?仕事はどうしたのよ。まさかクビに・・・。
「皆さんご存じの通り、ナッターズ先生は本来魔法団の団長ですが、彼の必要以上の申し出にくっし・・・並々ならない熱意に押され臨時講師として、教壇に立ってもらうことになりました」
先生、本音が漏れてるわよ・・・。
「ごめんね~ここに来れるのが少ないんだ~だから、短い時間でギュッと教えるからね~このクラスには弟子も3人居るしね~手伝ってもらうから~」
弟子?ナッターズ侯爵に弟子なんていたかしら?あら?こちらを見てるわ・・・え?もしかして私たち!?
ジュリアンナと私は、思わず顔を見合せてしまったの。ヒューゴは、顔を反らして片手で隠しているわ。
治療魔法の件で、エレノアとナッターズ侯爵は面識あったけど、彼女に魔法は教えていなかったのよ。でも、私たち子供だけでエレノアとヒューゴに魔法を教えていたのだけど、その後それがナッターズ侯爵に見つかって、二人も彼のモルモット又は生け贄になったのよ。
「質問です」
男子学生の一人が手を上げたわ。この状況で、勇気あるわね。
「どうぞ~」
「はい、私はオリヴァー・アンダーソンと申します。ナッターズ先生は、魔法団の団長なのに、何故教壇に立つことにしたのでしょうか?」
「え~。もっと、魔法の素晴らしさをたくさんの人に教えたくて~?」
「・・・本音は?」
そう私はボソッと無意識に呟いたわ。慣れって凄いわよね。ナッターズ侯爵と出会って、何回この言葉を言ってきたか・・・。
私の呟きの声は、小さかったのよ。でもみんな、ナッターズ侯爵の言葉に耳を傾けていたから静だったの。だから、教室に響いたわ。
ちょっと、ザワザワガヤガヤしていてよ~。
「え~だって面白そうじゃないか~君たちがこの学園に揃うんだよ~それも1年だけだしね~」
『・・・・・・』
相変わらず魔法のことになると、自分勝手ね。前を見てよ、みんなの困惑した顔を・・・声も発声られないじゃないの。
「で、では、皆さん後はよろしく頼む」
そう言って、先生は逃げるように教室を出ていったわ。生徒に、この危険物を押し付けてね。
「じゃ~、なかなか私は来れないから~今日1日実習ね~。学園長の許可は取ってあるから~」
え?1日?実習を?そんな事を、なんでニコニコ笑顔で言うのよ~。みんなを潰す気なの~?
訓練場に移動したわ。わらわらとみんな揃ってね。
学園の訓練場なのに、凄い広いわよね。東京ドーム5個分かしら・・・たぶんだけど。
「ん~。みんなは、Aクラスだから全魔法使えるよね~」
『はい』
躊躇いなく、全員が肯定したわ。でも、この国で全属性の魔法を使えない人って、いるのかしら?
「それじゃ~、今日は追いかけっこをしてもらおうかな~。ルーナとリアとヒューはこっちに来て~」
追いかけっこ!?幼い頃にみんなでやっていた、あの追いかけっこを!?
ナッターズ侯爵は、言ったら聞かないことを重々承知よ。
仕方ないから3人で渋々、彼の横に並んだわ。
「これから、この3人を追いかけてね~。攻撃魔法をじゃんじゃん使ってもオッケーだから~。捕まえた人には、1学期の単位を上げるよ~。3人は、捕まらなかったら、1学期の単位を上げるね~」
1学期の単位をくれる?・・・まだ、入学式を済ませて1週間経ってないわよ?でも、ここで捕まらなかったら、その後の実習の時間は自由?ちょっと、なんでもしていいのかしら?もう、イベント発生をなんとか起こしたいのよ~・・・うん、やる気出てきたわ!
「その話、乗ったわ!」
ナッターズ侯爵に人差し指を突き付けて、ビシッと決めたわ。あ、良い子のみんなは人に指を指しちゃダメよ。
「私もですわ」
ジュリアンナの瞳も、やる気で満ち溢れているわ。
「うん、魅力的だと思います」
目蓋を閉じて思いに更けっているわね。何を思い浮かべているのかしら?
ヨシッ、二人も私と同じ考えね!
それに、他の生徒たちもやる気だわ。どんな手を使っても逃げ切ってみせるわよ!
「おぉ~。みんな、やる気出たね~。じゃ~、早速始め~」
ナッターズ侯爵の合図と共に、生徒たちが飛び掛かって来るわ。そのなか、ジュリアンナはシールドを張り、ヒューゴは身体強化の魔法でヒョイヒョイと逃げ回っているわ。
ふふふ~ん。私は、誰も手が届かない高い所に避難よ!
上昇気流のように、風の魔法で一気に高く上がったわ。
高度何mかしら?豆粒にもゴマ粒にもならず、人の姿が全然見えないわ。
ずっと風の魔法で不安定で居るのは嫌だから、シールドで足場を固めて、それに来ないと思うけど、攻撃魔法が当たったら大変だしね。そして、酸素が薄いから下から酸素を送り込まれるようにして、実習がいつ終わるか分からないと困るから、下の音が聞こえるようにして、寒いから私の周囲だけ暖かくして・・・うん、快適快適。
と思ったら、ナッターズ侯爵が来たわ。
「うわ・・・」
「ルーナ、今の魔法は何かな?」
風の魔法で飛んで来たナッターズ侯爵が、私の作ったシールドのいえに立つと、幼い頃からやられている圧をかけてきたわ。
「・・・暖かい空気を横に流して、向かい側から冷たい空気をぶつけたのよ。そうしたら、暖かい空気が勢い良く上昇するわ。それを自分の立っている下でやれば良いのよ。上昇する時に風の魔法で勢いをつけてば、あっという間に高い所まで上がって来れるわよ」
ナッターズ侯爵が、ふんふんと素直に聞いているわ。
「でも、侯爵。侯爵はここまで上がって来れたということは、出来るんじゃないの?」
「私のは、風魔法で風を起こして、自分の体重を浮かせているから、燃費が悪いんだよ~。あ、実験に付き合ってね~」
「え?」
おじさんが、首を傾げてお願いしても可愛くないですから。
ジュリアンナやエレノアがやったのなら、速攻頷いていたわね。
「ね?」
ナッターズ侯爵の「ね?」の強調に、私は黙って首を横に振るわ。
「ね?・・・ね?」
近いわ!怖いわ!分かったから、いつもより圧を強めないで!
もう、勢い良く無言で、首を縦に振るしかなかったわ・・・。
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