第12話 こうした方が簡単だと思うのですわ

ここは、魔法団の訓練場ですわ!!

今日は、みんなと一緒に魔法を習うのだけど、王都で魔法を習う人たちは、この訓練場を使うのですわ!

一番小さい年齢は私とジュリアンナで、次がカーティスたち、あとは成人した大人たちなの。覚える時間が違うから、年齢によって分けられているのよ。それぞれ四方に散らばってグループを作っているわ。

私とジュリアンナは、魔道具の数の関係でカーティスたちの年代と同じグループなの。だけど、一緒に魔法を習うとなると小さすぎて巻き込まれたら大変!ということで、別になるのよ。

ふっふっふー。何故、私がジュリアンナに魔法を教えることになったかというと、人手不足なのもあるけど、私の覚えた魔法が多くて、魔法団の人たちと同じくらいなんですって!だから、習う必要がないって言われたの。ま、これもナッターズ侯爵が言い出したことなんだけども。

あ、私じゃなくてもナッターズ侯爵に教われば1番良いことなのだろうけど、彼はそれなりに地位が高い大人の人たちを教えることになったから無理なのよね。

それで、ちょうど人手不足だし教える方に回ってほしいと言われたの。幼い私たち二人だけだど何かあった時が心配だから、指導者が頻繁に様子を見るという条件でそうなったわ。

私とジュリアンナくらいの年代は、私たちくらいしか王都にいないらしいのよ。カーティスたちの年代は、カーティスたち以外は10人満たないわ。他の御子息と御令嬢は、自分の領地にいるの。

もちろん、フォーサイス伯爵家に領地はあるわよ。でも、産まれてからずっと私は王都にいるわ。何故かというと、両親の都合なのよ。ハンフレイパパの王宮での仕事が多くて長期の休みが取れないのと、ずっと体調不良だったマリアンヌママの側から離れたくなかったからだそうよ。もう、体調が良くなったのだから領地に帰っても良いと思うのだけど、ハンフレイパパが寂しいと嘆くのよ。でも、マリアンヌママも嬉々としてそれを許しちゃうのよね~。もう、見てるだけで砂糖が口から出そうになる程のバカップルね。自分の両親だけど・・・。

私たちはそんな理由で領地に行かないけど、エドワードやアンドリューのみんなは、領地に行かないのかしら?って、ずっと思っていたのよ。だって、私が産まれて約2年、一度も帰った気配がないのよ。

不思議で本人に聞いたら、エドワードとジュリアンナが領地に行かないのは、ルーカスの遊び相手ためらしいわ。まぁ、遊び相手というか、殆んどは魔法の練習相手よね。ご苦労様・・・。

アンドリューは、「まほうのれんしゅうもだいじだけど、けんのくんれんをするんだ!きしだんはすごいんだぞ!!」と言っていたわ。騎士団で訓練してくれるのかしら?父親が団長だから有り得るかもしれないわね。

デュランは、物心付く前は自分の領地行っていたらしいけど、物心ついてからは領地に1度も行っていないらしいのよ。父親と魔法の研究が楽しいようだわ。外へたまに連れ出さないと、ネクラになりそうだわ~『エレセイ』のゲームのデュランのようになりそうね。そうだわ!カーティスに、連れ出すように言っておかないと駄目ね・・・あ!今日からは魔法の練習があるもの。当分の間は大丈夫よね!

もちろん、みんなも魔法の先生をするのよ。私と同じ、人手不足と手本も兼ねてなのよ。

王都に残っている他の10人満たない子たちは、ルーカスの遊び相手に選ばれたくて残った者と領地を持たない者みたいだわ。こんな、小さい時からすり寄る教育をさせられているのね・・・私の記憶にある日本一でもそうだったけど、世知辛い世の中よね。


「りゃあちゃま。みゃじゅ、みゃじょーぎゅおちゅきゃっちぇいきゅみゃしゅあ」(リア様。まず、魔道具を使っていきますわ)


「あい。はじぇみぇちぇちぇ、じょきじょきしみゃしゅあ」(はい。初めてで、ドキドキしますわ)


素直で良い子だわ~・・・もう、『エレセイ』の悪役令嬢の面影もないわね!

ジュリアンナの誕生日パーティー以降、交流することになって、私の2才の誕生日パーティーにも来ていただいたの。彼女のキャラクターデザインした人って、『エレセイ』のジュリアンナに恨みでもあったの?っていうくらいジュリアンナのつり目と目付きが酷かったのよ。両親もエドワードも美形だから元は良いはずなのに、『エレセイ』のジュリアンナは眉間にシワをずっと寄せているせいか、一般的に有り得ないくらいの鋭いつり目だったわ・・・。

今は、つり目どころか可愛らしい猫目なの~。お目目がくりくり大きくて、やっぱ育ちや環境って大事なのね~。

あと、彼女と一緒に遊ぶようになって分かったの!人って、やってはいけないことや悪いことを、ちゃんと教えないとそれが駄目なことだと分からないのよね。そのことを私が注意すると、最初は「え?何が駄目なの?」という感じのだけど、ちゃんと根気よく教えるとジュリアンナは話を聞いてくれて次からは気を付けるのよ。本当に素直で良い子なのよね~。素直過ぎたから、『エレセイ』のジュリアンナはあんな風になったのかしら?


魔法を教える前に、色んな魔道具をカーティスたちが使い、その後に私が実際にやって見せて、ジュリアンナにもやらせていくわ。


これって、効率悪くないかしら?この状態が1ヶ月続くのよね?みんな飽きてくるんじゃないかしら・・・。


「りゃあちゃま、ちょちょきょっちぃにきちぇきゅちゃさいじぇしゅわ」(リアさま、ちょっとこっちに来て下さいですわ)


「あい?」


ジュリアンナは可愛らしく首を傾げるが、私の後を着いてきたわ。


「ちぇ、ぢゃしちぇきゅちゃしゃいじぇしゅわ」(手、出してくださいですわ)


「あい」


グループから少し離れると、ジュリアンナに手を出すように言い、彼女はそれに素直に従ってくれたわ。

ジュリアンナが出した、紅葉のような可愛らしい手の平に、自分の手の平を合わせると、魔力を流したの。


「きょりぇわ、ひにょみゃりょきゅよ」(これは、火の魔力よ)


「ひ?」(火?)


「ちょっちょ、あちゅいにょ」(ちょっと、熱いの)


「あい、あちゅいわ」(はい、熱いわ)


「きょりぇわ、みぃにゅにょみゃりょきゅよ」(これは、水の魔力よ)


「みぃにゅじぇしゅにぇ。にゃんきゃすーっちょしみゃしゅわ」(水ですね。なんか、すーっとしますわ)


「りゃあちゃま、おにょじゅじぇちゅ」(リアさま、お上手です)


「ちょうじゃちゅきゃ?えひぇ」(そうですか?えへ)


以外と感受性が良いジュリアンナを誉めると、可愛く照るのよ~。

それから次々と、色んな魔法の魔力を流していくわ。そして一通り終わると、今度は魔法を試してみることにしたわ。


「きょんじょわ、みゃひょうにょちゅきゃっちぇいきゅみゃしゅわ」(今度は、魔法を使っていきますわ)


「あい!」


「みゃひょうわ、いみぇーちぎゃじゃいにじぇちゅわ。みゃちゅわ、りょうちょきゅにょひおいみぇーちしちぇ、ひゃいやーちょいーちぇじゃしちぇみちぇきゅちゃちゃいじぇしゅわ」(魔法は、イメージが大事ですわ。まずは、ロウソクの火をイメージして、ファイヤーと言って出してみてくださいですわ)


「りょーちょきゅじぇちゅにぇ。ひゃいやー!・・・じぇきみゃしちゃわ!!」(ロウソクですね。ファイヤー!・・・出来ましたわ!!)


ジュリアンナが小さな可愛い手を前に出してファイヤーと言うと、ロウソク火にそっくりなファイヤーの魔法が現れたの。


「しぅぎょいじぇしゅわ!りゃあちゃま!!」(凄いですわ!リアさま!!)


やっぱり、誉めて伸ばす!これ、大事ですわ!!


ジュリアンナが、こちらを向いて嬉しそうにキラキラと目を輝かせた。そして、私に飛び付き手を取り合う。


「りゅーにゃちゃま!」


「りゃあちゃま!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る