第4話 はじまり

『ねえねえ、ちょっときてよ!』

 親友のマリから興奮したように電話がきたのは、次の日の午後三時くらいだった。

「んー。なに?」

『今、家の前にいるからさ!』

「えっ!」

 急いで玄関に行き、ドアを開ける。

「よっ。来ちゃった」

 ニコニコのマリに、はあっとため息をつく。

「なに……」

「なんだぁ、無愛想だなー」

 マリは、不登校になる前からの親友。明るくて、気づかいのできるいい子だ。わたしが不登校になった理由も、聞かなかった。

「実はさ、ちょっとした事件があったんだよね。一緒に見に行こうよ!」

「野次馬みたいなマネはしたくないんだけど……」

 そう言うと、マリはきゅるんとした顔で、抱き着く。

「お願いだぁー! 一人じゃいけるわけないしー!」

 ……まあ、少しくらいならいいか。

「いいよ。じゃあ、行くか」

「やったあっ!」

 ぴょんぴょん跳ねてる姿がかわいいから、にくめない。

 家を出て、しばらく歩くと商店街にでる。

「あっ、ここ!」

 立ち入り禁止ロープがはられてる……。興味本位で来るとこじゃなくね?

「おお。マリちゃん! ……と、となりの子は親戚の子かな?」

「あ、はい……」

「ごめんねぇ、おじいちゃん。この子、シャイなの~」

 まちの人たちは、わたしのことをあまり知らない。このおじいさんは、豆腐屋さんの人だ。

「ねえねえ、おじいちゃん。ここ、なにがあったの?」

「ん? ああ、強盗が入ったんだ。こんな田舎の宝石店なんて、ぬすむもんあるのかねぇ」

 宝石強盗……。このまちに、宝石店なんてあったのか。

「へえー。大変だねえ」

「ああ。しかも、この店の店主は金属バットかなんかで、複数殴られたらしい。今は、病院だよ」

「ひえ~。こわっ」

 ぶるっとマリが身ぶるいした。確かに、こわい。まあ、無縁だろうけど。

 はあ、と息をついていると、とんでもない内容がきこえてきた。

「これも、小金院の子のしわざか?」

「まさか! 七年前、死んだじゃないか」

 死んだ……!?

 マリと二人で、かたまった。

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