第28話 これからもずっと

 みずきさんは必ず図書室にいる。

 僕は僕で、校内では花壇やプランターの花たちの世話をする。


 初めてみずきさんを見つけた時はどんな子だろう?と思っていた。

 実際に会うと、可愛らしい女の子だった。

 僕よりも頭は賢くて、でも天然な部分がちらっとあって。

 1人にさせると危ない雰囲気があるから、出会ってからは図書室に行ける時は必ず行った。

 いつの間にか、みずきさんの顔を見ない日はなくなった。

 みずきさんに友達が出来た時は嬉しかったし、教室に来た時の感動は忘れない。

 相談会は不定期で開いているらしく、今は恋愛相談を中心に勉強に関する事を教えているらしい。

 恋人になってからも変わらずのペースで進んでいる。

 さとし優愛ゆめ、妹の弦姫ゆずきには、毎回こんな事を聞かれる。


『どこまでいった?順調?』


 順調は順調と言って、どこまでいった?は、いやらしく感じるから返答はしない。

 でも、心配なんだろう。

 僕がぼーっとしてるから。

 頼りにならない感じはするよね。

 自分でも分かってる。

 でも、もう大丈夫。

 互いの秘密を打ち明け合ったから。

 これを機に、少しだけ成長は出来たような気がしてる。


 僕はみずきさんのペースに合わせて、これからも歩いてく。

 何かあったら必ず守る、そう決めた。


 こんな僕の事を好きになってくれて、ありがとう。




 受験日以来、会えなかった人に再会出来た時は驚いた。

 聞き入ってしまう優しい声。

 あの時の男の子。

 再会した時は、いつでも鉛筆と消しゴムを返せるように鞄に入れてあったけど、その時に返せなかった。


 いや、


 返したら、もう会えないと思ってしまったから。

 名前は宮藤くどう弦大げんた君。

 いつも何を考えているのか分からない、ぼーっとしている男の子。

 頼りになる時もあるけれど、基本的にならないかな。

 でも、優しくて花が大好きな所が素敵な所。

 弦大君と話している内に、優愛ちゃんと弓河ゆみかわ君とお友達になって、教室に居れるようになってから更にお友達が増えた。

 相談会を始めてからは、やっと人への恐怖心が和らいで、スムーズに会話が出来るようになって嬉しかった。

 お陰で、両親と商業施設へ行っても、大勢の人がいる環境が平気になった。


 いろんな事を1つ1つ克服出来た事は、弦大君のおかげ。

 感謝しかない。

 恋人になってからも変わらず。

 互いの秘密を打ち明け合っても変わらず。

 でも成長は出来たかなと思う。


 こんな私の事を好きになってくれて、ありがとう。

 早く私の事を、って呼んでほしいなぁ。

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