第29話 卒業

 あっという間に高校生活が、今日、この卒業式をもって終わる。

 長いようで短い。でも、充実した日々を過ごせた。


 式が終わり、みんなワイワイ賑やかだ。

 泣いてる人もいる、清々しい表情の人もいる。

 そんな中。

弦大げんた!卒業してもたまには会って話そうな!」

「うんうん、さとし

 寂しがりやな聡。大丈夫、君には居るじゃないか大切な人がさ。

「弦大、大丈夫よ!聡の事は私に任せなさい!」

 ですよねー、優愛ゆめ

「弦大、3年間ありがとね」

「いえいえ、こちらこそ」

「たまに会ったらよろしく」

「うーん」

「何で考えんのよ!」

 そんな会話を終えて。

「さてと」

 僕は席を立つ。

「行くの?」

「うん」

「私はもう朝に聡と一緒に行って話したから」

 気を遣われた。

「「ごゆっくり~」」

 聡と優愛がニヤニヤしていたのは見なかった事にして。

 そんな2人に見送られながら、僕はある場所に向かった。



「やあ」

「弦大君!」

 変わらずの君。

「卒業しちゃったね」

「だね」

 この2年間、ほぼ毎日通った教室の1つ。

 君に会いたくて、自然と足を運んでいた。

「4月から大学生だよ?」

「実感がないなー」

「だよね」

 そう、4月から大学生なのだ。

「大学は違うけど、会えるよね?」

「もちろん」

 別々の場所になっても、会おうと思えば会える。

 僕はそう思ってるんだけどなー。

「弦大君」

「ん?」


「ありがとう」


 この言葉に、いろんな事が詰まっての一言なんだろう。


「こちらこそ、ありがとう」


 僕も、返した。


 すると、ゆっくり僕に近づいて来た。

 目の前にいる。


「これからも、よろしくね」


 満面の笑顔だ。桜よりもとても綺麗な素敵な君。

 だから、僕は、言えなかった事を言う。


「こちらこそよろしく、

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