第22話 言っていない

 僕の事、みずきさんの事。

 互いのまだ知らない事を打ち明けてはいない。

 このままで良いのだろうか?

 僕は少し不安になる。

 秘密というのは、誰しも1つや2つはある。

 でも、何かあった時に知らなければ、時に最悪を招く事もある。

 もちろん、言わない方が幸せな事も重々承知している。

 だが、僕とみずきさんは、話した方が良いような気がしている。

 互いの秘密を打ち明けた時、ステップアップ、出来るような気がしている。

 だから、僕はみずきさんにメッセージを送った。

 面と向かっては言いにくいから、この形で連絡。


『今週の休みに僕の家でまた勉強どうかな?』


 すると、直ぐに返信が来た。


『良いよ!』


 どうなることやら。不安でいっぱいだ。



 勉強会当日。

「自分の家より、弦大げんたの家の方が捗るわー」

「なんか分かるぜ」

「だよね」

 うーん・・・大事な日に、決戦の日に、何故か優愛ゆめさとしがいた。

 まあ良いけどさ。

 いつもの4人の他に、もう2人。

「みずきさん、ここ教えて下さい!」

 妹の弦姫ゆずき

「良いよ!」

 妹の甘えに付き合ってくれてありがとう、みずきさん。

「お兄さん、僕まですみません」

 弦姫の友達である宮西みやにし君。

「良いよ、大丈夫」

「ありがとうございます」

 礼儀正しいなー。

 なんだかんだで、2時間が経過した。

「はぁー、終わろう!」

 優愛が脱落。

「おやつの時間だしな!」

 聡は便乗。

「だね、2時間頑張ったし」

 賛同してるみずきさん。

「お兄ちゃん、おやつ持ってくるね!お祖母ちゃんとお祖父ちゃん、用意していたから」

 妹よ、兄は祖父母の用意周到を知らないんだが。

 弦姫は宮西君と一緒におやつを取りに、僕の部屋を出た。

「いやー、毎回甘えちゃってごめんね弦大」

「いいよ、慣れてる」

「ガハハッ!だろうな!」

 みんな、僕の家をなんだと思っているのやら。

「はーい、おやつ~♪」

「「「ありがとう!」」」

 オレンジジュースとプリンが今回のおやつだ。

 おやつが配られた所で。

「「「いただきまーす!」」」

 プリンをスプーンですくって一口食べると、ふんわりと甘さが口の中で広がる。

 うん、美味い!

「プリン最高ー!」

 と優愛。

「美味いぜ!」

 と、聡。

「優しい甘さで良い♪」

 と、みずきさん。

「宮藤さん、これ手作り?」

「そだよ!お祖母ちゃんと一緒に作ったのさ!」

「おぉー!」

 感激している宮西君。

 ドヤ顔の弦姫。

 というわけで、みんなで美味しくおやつを頂きました。



 優愛と聡が先に帰り、後から弦姫が途中まで宮西君に付き添う為に出て、今は僕の部屋には僕とみずきさんの2人だけ。

 2人きり、緊張しています。

 そして、ふと思い出す。


 大事な話をするのは今だ。


「みずきさん」

「何?」

「とても大事な話を、しても良いかな?」

 みずきさんは目を丸くする。

「うん、良いよ」

 そうして正座をしだした。

「良いよ、足崩してて」

「ううん、大事な話なんだから、それなりの態度を」

「無理しないでね?」

「キツくなったら崩すからご安心を」

 僕の話の間、持つかな。

 なんて思いつつ。


「では、早速」

「うん」

 固唾を飲むみずきさん。

 そんなに緊張しなくても。


「誰にも話した事がないんだけどさ・・・」


 そう、今まで閉まっていた過去について。


「僕の・・・両親の事を・・・話すね」

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